国連総長、被爆者が原動力 「核なき世界は可能」と訴え

インタビューに答える国連のグテレス事務総長

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で広島市を訪問中の国連のグテレス事務総長が20日、共同通信の単独インタビューに応じた。被爆者の存在が「核軍縮を優先課題にすべき根本的な理由」で、自身の原動力になっていると語り「核兵器のない世界は可能だ」と訴えた。

 G7と中国の対立について「世界の分断を回避し、真剣に交渉できる架け橋を築くことが非常に重要だ」と述べ、気候変動対策や発展途上国支援での両者の協調を促した。

 グテレス氏は現職として広島と長崎の両方の平和式典に出席した初めての事務総長。昨年、広島で核保有国に「核の先制不使用」を呼びかけた。

 過去に訪問した際、被爆者の証言を聴く機会があり「誰もが耳を傾けるべきで、核軍縮を促すものだ」と振り返った。気候変動とともに「地球を破壊するリスク」として核兵器を議論する必要があると強調した。

 G7と中国に人権問題など相いれない点があると認めながら、環境や科学技術の分野で世界が直面する課題に関して「両者は積極的に対話し、協力すべきだ」と指摘した。

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