元海自佐世保地方総監・香田洋二氏 ニミッツ寄港はG7意識 米の安保関与 アピールか

香田洋二氏

 米原子力空母「ニミッツ」の佐世保寄港の狙いや意図について、元海上自衛隊佐世保地方総監の香田洋二氏(73)に聞いた。香田氏は、19日広島市で開幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を「明らかに意識している」と強調。中国や北朝鮮の動きをにらみ「米国の安全保障の関与力を世界に示すため」と分析した。
 空母の移動計画は4年ほど前から決まっているため「始めからG7ありきではなかった」と見る。海洋進出を強める中国や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮などの存在が影響したという。G7広島サミットは外国の賓客を招いた「日本主催の行事」で、民主主義国家のトップが集結する。特に中国に対して「『私たちはここにいる』とアピールする目的もあるのでは」という。
 海外の数ある寄港先から選ばれた佐世保には針尾弾薬庫などもある。修理や物資調達ができる基地は、米西海岸からアフリカの間では「ハワイと横須賀、佐世保だけ。米本土と同じように部品調達できるのは日本くらい。米側の信頼は厚い」。
 米海軍佐世保基地が空母を受け入れられる力を示した一方、「軍事目標として狙われやすくなるのは間違いない」と指摘する。ただ、ロシアのウクライナ侵攻では、国民の心を折って戦争終結を早めようと、病院やインフラ施設が真っ先に狙われた。佐世保の場合でも、県北一帯の病院や発電所などが考えられる。寄港を通して「インフラや市民の心をどう守るか、考えなければならない」と強調する。

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