東日本大震災まで釜石市の観光船「はまゆり」でガイドを務めた同市中妻町の千葉まき子さん(72)は、JR釜石線を走る観光列車SL銀河の運行開始以来、沿線の自宅前で乗客に手を振り続けている。SL銀河は来月11日の運行終了が迫る。千葉さんは「はまゆりを失った後、観光業の復興をけん引してくれたのがSLだった。もらった元気を胸に未来へバトンをつなぐ」と感謝を込めて、ラストランを見守る。
下り線終着の釜石駅に近づくと、線路脇からひときわ目立つ歓迎の一団が車窓に映る。オレンジ色が映える虎舞の虎頭が揺れ、大漁旗がひるがえる。中心にいるのが千葉さんだ。
2014年の運行開始から、千葉さんは近くに住む会社員の長女佐々木友里恵さん(37)家族や近隣住民も巻き込んで、歓迎や見送りに合わせて線路脇に立ち続けている。孫の玲奈さん(釜石中2年)と未結奈さん(双葉小6年)は「乗客に楽しんでもらえるのがうれしかったから、SLがなくなるのはちょっと寂しい」と声をそろえる。