【高校野球春季関東大会】慶応2年生右腕・小宅、公式戦初の背番号1 緊迫した投手戦も一発に泣く

【慶応―木更津総合】8回、村上(11)にマウンドを託す小宅=サーティーフォー保土ケ谷(立石 祐志写す)

◆慶応2―3木更津総合

 一発に泣いたとはいえ、慶応の2年生右腕の小宅は終盤まで緊迫した投手戦を演じた。

 七回無死、前の打席で先制ソロ本塁打を許している木更津総合の4番水野に対し、執拗(しつよう)に内角球を続けた。「警戒して厳しく攻めた」というフルカウントからの6球目。シュート回転して真ん中に吸い込まれた白球は右翼ポール際に消えた。

 昨秋から選抜大会までフル稼働だったこともあり、春季県大会の登板は4試合4回2/3にとどまった。小宅は「サポートするメンバーの思いも知り、(関東大会で)恩返ししたかった」。公式戦で自身初めてエースナンバーを背負い、満を持して上がったマウンド。持ち前の度胸たっぷりに直球で飛ばした。

 球速は140キロ前後を計測。指にかかったストレートは低めに伸びた。ただ四回から球が上ずり始め、「疲れではないが、逆球が増えて、修正しながら投げたつもりが一発につながった」と冷静に振り返った。

 それでも本番の夏に向けて、強豪相手に投げ込めたことはさらなる飛躍の種となる。森林貴彦監督(49)は「ある程度試合をつくってくれたが、警戒して甘い球を打たれた。夏はいいバッターをどう抑えるか」と話す。

 県大会で成長を示した左腕鈴木佳は休養を理由にメンバー外。6人の投手がベンチ入りし、競争は県内屈指の激しさを誇る。「試合をつくるのが自分の役割」と小宅。真っ白なプレートを譲るつもりはない。

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