「サミットは大きな失敗」 被爆者サーローさんが批判

記者会見する被爆者のサーロー節子さん=21日午後、広島市

 広島で被爆し、カナダを拠点に核兵器廃絶を訴えている被爆者のサーロー節子さん(91)は21日、広島市で記者会見し「G7広島サミットは大きな失敗だった。首脳たちの声明からは体温や脈拍を感じなかった」と批判した。「原爆資料館で何を感じ、何を考えたのか。その声を聞きたかった」とも指摘した。

 被爆者らは核保有国や「核の傘」の下にある日本などに核兵器禁止条約参加を求めてきたが、G7の共同文書「核軍縮に関する広島ビジョン」などで条約への言及はなかった。サーローさんは「声明には何も新しい内容がなかった」と述べた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領の出席に関して「武器支援のことばかりで、話し合いによる解決策が聞こえてこない。広島でそうした話をされるのはうれしくない」と複雑な心情を吐露した。

 サーローさんは13歳の時、爆心地から約1.8キロの学徒動員先で被爆。姉や4歳のおいたち親族と、多くの級友が犠牲になった。

G7広島サミットで記念写真に納まる(左4人目から)バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領ら各国首脳=21日午前、広島市(代表撮影)

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