「ジュニアNISAの駆け込み利用はあり?」子ども3人のためにお金を増やしたい31歳会社員男性

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、31歳、会社員の男性。3人の子どものために投資を検討していますが、2023年で投資可能期間が終了するジュニアNISAを利用するべきか悩んでいます。FPの坂本綾子氏がお答えします。


投資信託を検討している。

子どものために預金している貯金を全て投資に回して、15年後や18年後あたりには増やしておいて、渡してあげたい。

3人子どもがいて、80万ずつのジュニアNISA枠で考えているが、それでいいのかというのも疑問。ジュニアNISAの枠に縛られず、ドルコスト平均法で、リスク分散を図るのか、現時点で一括で投資信託などに入れて、複利で低く見て3%運用で、コツコツ伸ばすことを考えるのか悩んでいる。

住宅ローンもあと3年で10年固定が終わる。3,000万ぐらいが残ることになるが、時期的なところもあるが、乗り換えを検討すべきか悩んでいる。

【相談者プロフィール】

・男性、31歳、会社員

・妻:31歳 ・子ども:3人(0歳、3歳、5歳)

・お住まい:滋賀県(持ち家、戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:480万円(※編集部注 投稿文ママ)

・年間の世帯の手取りボーナス額:150万円

・毎月の世帯の支出の目安:30万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:10万円

・食費:3万円

・水道光熱費:1万5,000円

・教育費:1万円

・保険料:7万円

・通信費:3,000円

・車両費:1万5,000円

・お小遣い:5,000円

・その他:記載なし

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:記載なし

・ボーナスからの年間貯蓄額:記載なし

・現在の貯金総額(投資分は含まない):400万円

・現在の投資総額:100万円

・現在の負債総額:3,500万円

坂本:投資でお金を増やして、子どもが大きくなったら子どもに渡したいと考えている男性からの相談です。どんな投資方法が適切なのか、また、住宅ローンの借り換えについても悩んでいるとのこと。順に考えていきましょう。なお、共働きかどうかわからないので、働いているのは夫一人とし、記載されたこと以外は考慮せずに回答します。

ジュニアNISA駆け込み利用なら押さえておきたいこと

まずは、今の預金を投資に回すかどうか。

相談者は31歳で子どもが3人。0歳、3歳、5歳です。お金を渡す時期は、15年後や18年後あたりと考えています。使う口座はジュニアNISAで、金額は1人80万円ずつ。ただし、この方法でいいのか疑問とも書かれています。手持ちの預金から子ども名義のジュニアNISAに投資資金を出してもよいかは、ジュニアNISAを使う際の注意点も把握した上で判断する必要があります。

2023年に駆け込みでジュニアNISAを使うなら次のことを押さえておきましょう。

1)投資額は家計の状況に応じて決める
2)将来の投資結果は2023年の相場に左右される
3)子どもが18歳になるまでは非課税で運用できる

投資額は家計の状況に応じて決める

1)の投資額について。ジュニアNISAの非課税枠は年間80万円です。枠いっぱい投資したくなりますが、家計に無理のない金額にするのが大事です。相談者さんの場合、子どもが3人ですから80万円×3人=240万円。手持ちの預金は400万円なので、240万円を投資に回すと、安全資産の預金は160万円に。別途、投資額が100万円ありますから、安全資産とリスク資産の割合は、160万円対340万円に。ざっくりリスク資産が安全資産の倍になります。

年齢的にはリスクをとってもいいのですが、子どもが3人いること、住宅ローンを抱えていることを考慮すると、もう少し安全資産を確保しておきたいところです。最低でも生活費の6カ月分、理想は1年分。毎月の生活費は30万円ですから、6カ月分なら180万円、1年分なら360万円です。子どものために預金していると書かれているので、400万円は将来の教育資金にする予定なのかもしれません。しかし、預金ではなかなか増えないので、ジュニアNISAにと考えられたのでしょうか。

安全性を優先するなら、手持ちの400万円は預金のままとし、相談内容にも書かれているように、ジュニアNISAに縛られず、ドルコスト平均法で投資信託を積み立てる、つまり、親名義のつみたてNISAを選択して毎月の収入からコツコツと投資をしていく方が適切です。

ある程度のリスクを取るなら、また、今の時点で資金を子ども名義にして将来渡したいなら、子ども1人当たりの投資額を70万円に下げれば3人で210万円ですから、6カ月分の生活費をカバーできる190万円の預金が残ります。

将来の投資結果は2023年の相場に左右される

2)の将来の投資結果について。2024年から新しいNISAが始まるため、ジュニアNISAは今年(2023年)で廃止です。投資できるのは今年いっぱい。つまり、一括で買っても、何度かに分けて買っても、今年買った価格よりも値上がりするかどうかで将来の売却時の損益が決まります。

となると、ジュニアNISAでは株式も買えますが、分散投資によりリスクを低減できる投資信託がいいでしょう。それでも、毎月、一定額で買っていくドルコスト平均法に比べると、リスクは高くなります。これから15年から18年の間には何度か景気が循環して株価が上がり、投資信託の価格にも反映されることを期待しながら保有することになります。

子どもが18歳になるまでは非課税で運用できる

3)の非課税で保有できる期間について。ジュニアNISAは、2023年までは引出制限があり、子どもが3月31日時点で18歳である年の前年末までは引出できないことになっています。ただし、2024年以降は、いつでも引出(=解約)できるようになります。引出さずに保有する場合は、投資してから5年間は非課税、その後は自動的に継続管理勘定に移管され、子どもが18歳になるまで保有することができます。その間はいつ売っても利益にかかる税金が非課税です。

今後の家計状況を予測する

今後の家計管理については、子どもは3人ともまだ小さいので、それほど生活費がかかっていませんが、これから食費や教育費が増えていくことを想定して考えましょう。年齢が近いので、一番上の子どもが高校生になるあたりから、授業料などを含む子どものための費用が膨らんでいきそうです。

持ち家の修繕費や、車の買い替え費用も、今後の支出として予想されます。現在、毎月どれくらい貯蓄に回っているのかわかりませんが、今年ジュニアNISAを使う使わないにかかわらず、コツコツと定期預金や投資信託の積立をして金融資産を増やしていきたいものです。

住宅ローンは変動金利+繰上げ返済がおすすめ

次に、住宅ローンです。3年後の金利の状況によって判断することになります。もしまだ低金利のままなら、固定金利を選択すれば、毎月の返済額が変わらないので家計管理がしやすいでしょう。

金利が上がっていたら、固定金利はかなり高くなっている可能性があり、毎月の返済額が増えてしまいます。繰上げ返済ができる資金が貯まっているなら、変動金利が選択肢です。同じ時期なら固定金利よりも変動金利の方が通常は低いからです。その後、金利が上がったら、繰り上げ返済で残高を減らすことで、利息の負担を減らすことができます。

手元の資金を増やしておけば、将来の子どもの教育費はもちろん、住宅ローンの繰り上げ返済や、持ち家のリフォームなど、まとまった資金が必要なときに使うことができます。投資でお金を増やしたいなら、2024年からの新しいNISAもぜひ活用しましょう。

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