[地域発 未来へ]青森・JA十和田おいらせ 6次産業化で先入観覆す

自慢の「プレミアムにんにく」を持つ戸舘部会長(左)と「プレミアムにんにくパウダー」などを持つ斗澤専務(青森県十和田市で)

ニンニク加工、臭い少なく 青森県のJA十和田おいらせは、生産量日本一のニンニク産地で、産地強化や他産地との差別化、農家所得の向上へ6次産業化に力を入れる。土づくりにこだわり、特許製法の低臭処理を施した「プレミアムにんにく」は、機能性成分を手軽に摂取でき、年々販路を拡大。加工品も人気を集めている。

自慢の「プレミアムにんにく」を持つ戸舘部会長(左)と「プレミアムにんにくパウダー」などを持つ斗澤専務(青森県十和田市で)

管内は栽培に適した冷涼な気候と高性能土壌診断分析装置を取り入れた栽培方法で、高品質生産と手取り確保につなげやすい作物としてニンニクの栽培が盛んに行われてきた。JAの年間取扱数量は1330トンに上る。

一方で、2005年ごろから国内にライバル産地が増えてきた他、「臭いを気にして週末にしか食べない食材になりつつある」「下位等級品でも手に取ってもらう方法はないか」と農家から悩みの声が聞かれていた。

JAは08年に広島県にある企業の技術を使い、低臭加工処理を施したニンニクの研究と下位等級品を活用した加工品の開発に踏み切った。開発には240人のモニタリング調査を実施。85%の人が食後の臭いが翌日まで残らないとの評価を得た。

試行錯誤の研究を繰り返し、11年に特許製法の低臭加工を施した「プレミアムにんにく」と、下位等級品を活用した「プレミアムにんにくパウダー」が誕生した。

野菜振興会の戸舘快之にんにく専門部会長は「同じ商品があふれる世の中で、農産物の価値を高めることが産地の維持につながる。下位等級品を価値あるものにできたことは、農家の支えにもなる」と話す。

ニンニクを粉末状にした「プレミアムにんにくパウダー」、パウダーを使用した「元気満点ドリンク『にんにく魂』」は、JA直売所やネットショップなどで販売する。20年には、熟成させたまろやかな味わいの「黒にんにく」も新登場。加工品は年間約6300万円を売り上げる。

中でも「プレミアムにんにくパウダー」の容器は、ニンニクの形をしたボトルがリアルでかわいいと口コミなどで広がっている。14年の日本農業新聞一村逸品大賞で金賞を受賞した他、青森県産品コンクール最高賞の受賞歴もある。

開発から販売まで携わった斗澤康広専務は「料理にインパクトを与える食材である一方、食後の臭いで食べるタイミングが限られる。臭いを気にせず、健康志向に応える提案をしていきたい」と意気込む。

地元でうまい店

青森中華YUMiO(青森・十和田市) 野菜の甘味たっぷり

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