高齢者“助け合い”利用好調 久保泉町町分「おたがいさん」発足1年 頼み事に有償対応、他地区にも拡大

「おたがいさん」の発足1年を祝う式典=佐賀市久保泉町の町分2公民館

 佐賀市久保泉町町分(まちぶん)地区で、高齢者の生活の困り事に対応する助け合いグループ「町分おたがいさん」が発足して1年がたった。有償にすることで顔見知りにも気兼ねなく頼み事ができる環境をつくり、利用件数は年間43件とメンバーの予想を上回った。今月下旬には、町内の別の地区でも活動が始まる。

 町分地区のお年寄りが集まる長寿会で実施した「生活の困り事」に関するアンケートをきっかけに、昨年5月に住民有志が活動を始めた。電球の交換、話し相手・見守り、ごみ出し、除草作業など幅広い依頼に対応しており、利用者はボランティア活動を行う「サポーター」に、30分250円のチケットを渡す。

 利用件数は、同様の活動を行う全国の団体と比較しても多いという。一方で草刈りや樹木の手入れの依頼が全体の3分の1を占め、偏りもある。1人暮らしのお年寄りの利用が多く、体力が必要な依頼が多くなっている。

 サポーターには約40人が登録し、1年間で延べ149人が活動した。サポーターからは「高齢者でも誰かの役に立てる活動ができることに、やりがいを感じる」という声が上がっているという。

 発足1周年を祝う式典が5月上旬、町分2公民館で開かれた。横地幹夫代表(79)は「できることから一つ一つ取り組み、1周年を迎えられた」とあいさつし、「病院や買い物への移動支援も行っていきたいが、安全性や費用など課題も多い。何とかして実現したい。若い層のサポーターも増やしたい」と今後を展望した。

 町内の下和泉6地区でも28日におたがいさんが発足することも紹介され、横地さんは「“おたがいさん”の精神で下和泉6地区とも協力していきたい」と話した。(坂本有佐)

  

© 株式会社佐賀新聞社