「機械みたい」 アマ優勝者が感じたプロゴルファーのすごさ

唯一のアンダーパーで連覇を果たしたアマチュアの平野大樹さん(撮影/中野義昌)

◇国内男子◇ゴルフパートナーPRO-AM トーナメント 最終日(21日)◇取手国際GC(茨城)◇東コース6804yd(パー70)◇曇り(観衆3400人)

プロとアマチュアの差はどこにあるのだろうか―。「全て」と一言で片付けてしまうのは簡単だが、プロと同じフィールド、同組でプレーしたアマチュアにしか分からないことがあるかもしれない。

日本で唯一のプロアマ形式で行われる大会。前年に続き、36ホールストロークプレーで競うアマチュアのスクラッチ部門で連覇を果たしたのは、平野大樹(だいき)さんだ。

平野さんは優勝したジュビック・パグンサン(フィリピン)、2位に入った蝉川泰果と2日間同組でプレーした。

優勝争いを繰り広げたプロ2人のプレーを間近で見て「率直に全てがうまい。最終組ということで調子の良いプレーヤー2人だったので、全て勉強になった」。安定したショットとショートゲーム力を兼ね備えるオールラウンダーのパグンサンと、圧倒的な飛距離を武器にガンガン攻める蝉川。タイプの異なるプロ2人の優勝争いを一番近くで見た経験は、何ものにも代え難い。

最終日のラウンド中も積極的に話しかけた(撮影/中野義昌)

「蝉川選手は体の使い方がうまい。パグンサン選手はパッティングの時のリズムが常に一定で、ルーティンも決して急がない。機械みたいでした」。ラウンド中はここぞとばかりに2人に質問を投げかけ、積極的に交流を図った。蝉川からはトレーニングなどのフィジカル面、パグンサンにはプレー中のメンタルコントロールに関するアドバイスをもらったという。

1年前は通算イーブンパーでの優勝だった。プロの予選カットライン、3アンダーを目標に臨んだ今年は、初日に2アンダー「68」でラウンドした。最終日は1オーバー「71」だったが、参加者51人の中で唯一の通算アンダーパーをマークして頂点に立った。「去年のスコアは上回ろうと思って臨んだので、去年の自分は超えられたと思います」と振り返った。

そんな平野さんがスイングで最も意識していることは「リズム」だという。「特にプレッシャーがかかる場面になると切り返しが速くなってしまうので、振り上げてからワンテンポ置くくらいの意識で」

最終18番はパーでフィニッシュ(撮影/中野義昌)

大学までは“野球人”だった。青山学院大の野球部に所属し、同学年には加藤匠馬選手(中日ドラゴンズ)、1学年上には杉本裕太郎選手(オリックス・バファローズ)、そして1学年後輩にはメジャーリーガーの吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス)とエリートが集まる環境で腕を磨いた。大学卒業後にプロ野球選手への道をあきらめ、ゴルフを始めた。前年大会の優勝後にはQTも受験したが、1次で敗退。「野球がダメだったので、ゴルフでプロアスリートになりたいという気持ちはあります」と今後も挑戦は続く。

最終日、3000人を超えるギャラリーが見守る中、最終組で堂々とプレーするその姿はプロにも引けを取らなかった。「休みの日は全てゴルフにつぎ込んでいます。それ以外はやっていないですね」

ホールアウト後、18番グリーン上で行われた表彰式。2つ目のトロフィーを受け取り、優勝したパグンサンと2人で写真に収まった平野さんの笑顔は、やわらかな西日に照らされていた。(茨城県つくばみらい市/内山孝志朗)

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