「初回お試し」のつもりが・・・ 化粧品関連で苦情急増、和歌山県消費生活センター

化粧品と健康食品に関する苦情相談件数

 和歌山県消費生活センターに2022年度、化粧品や健康食品を通信販売で購入する際、「初回お試し」のつもりが、意図せずに定期購入になっていたなどという苦情相談が多く寄せられた。特に化粧品関連は前年度の2倍以上に急増しており、センターは購入前に契約内容をよく理解するよう注意を呼びかけている。

 22年度にセンターに寄せられた苦情相談の総数は前年度より380件多い5013件。このうち、商品やサービス別で最も多かったのは「化粧品」関連の464件で、前年度221件の2倍を超えた。「健康食品」は202件。消費者庁が20年度、定期購入契約であることが認識しづらい表示をしていたとして、業者に業務停止命令をした影響で、前年度(196件)から大幅な増加はなかったが、2番目に多かった。

 ここ5年を見ると、「化粧品」関連の苦情相談は、18年度の83件から毎年増えている。改正特定商取引法が昨年6月に施行され、消費者が誤認しないよう、価格や解約条件などの表示の規制が強化されたが、その後もトラブルは多いという。

 センターによると、40代女性から「初回お試し」の価格が記載されたネット広告を見て注文したが、1カ月後に再度商品が届き、高額の請求書が同封されていたという相談があった。定期購入だったと気付き、解約しようと業者に何度も電話したが、つながらなかったという。

■通販で適用されないクーリングオフ制度

 センターは、定期購入契約になっていないかや、解約・返品の条件、支払総額などの契約内容を注意して確認すること、最終確認画面を保存することなどを呼びかけている。一定期間、無条件で契約の撤回や解除ができる「クーリングオフ制度」は、通信販売には適用されないことにも注意を促している。

 借金をさせて強引に契約を結ばせる「クレ・サラ強要商法」の苦情相談も前年度の2件から30件に増えた。このうち20代が6割近くを占めている。20代男性は「簡単に稼げる」と記載された副業のネット広告を見て登録。業者から副業支援のコース(100万円)の契約を勧める電話があり、お金がないと説明するも「毎月160万円もうかる」と、複数の貸金業者から借金して振り込むよう指示された。その後、返金を求めて電話するが連絡が取れないという。

■SNS関連も増加

 交流サイト(SNS)に関する苦情相談も18年度の110件から毎年増え、22年度は328件となった。「SNSで知り合った人から投資を勧誘され、指定口座に1300万円を送金したが、収益も元金も引き出せない」などの相談があったという。

 苦情相談の販売購入形態別では「通信販売」が52.2%と最多だった。この割合は増加傾向にある。センターは、新型コロナウイルス感染症流行により、人との接触を減らすことが推奨されたため、利用が拡大したことが要因ではないかとしている。

 全国共通の相談電話「消費者ホットライン」は局番なしの188。

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