世界に誇る“未来の船”に潜入!日本最大の海事都市・今治のスゴさとは!?

今月25日(木)から3日間、愛媛県今治市内で「バリシップ2023」が開催されます。バリシップは、世界から造船関連の企業や海運会社などが一堂に集まり、最新技術などを紹介する西日本最大の国際海事展です。
※船の内部などは画像で掲載しています。

船を造る造船業、貨物を運ぶ海運業、そして船の部品などを造る舶用工業、これらをまとめて海事産業と呼びますが、今治市は、海事産業が日本トップクラスの実績を誇る「日本最大の海事都市」なんです。

では、どんなにスゴイのか。
まず造船業では、日本で最も多い14の造船所があり、ここで造られる船の量は国内シェアの18%と、国内最大の建造隻数を誇っているんです。

海運業には、国内で貨物を運ぶ内航海運と、海外へ運ぶ外航海運の2つがありますが、内航海運会社の数は約190社と日本一を誇っています。
また、外航海運については、日本の外航船のうち約30%にあたる1100隻を今治の会社などが所有しています。船を所有する人を「船主(せんしゅ)=オーナー」と言いますが、今治オーナーと呼ばれる外航船主は、北欧・香港・ギリシャのピレウスと並んで「世界の四大船主」と言われています。

さらに、船の部品を製造する舶用メーカーも今治市内に160社ほどあって、最先端の技術を駆使した機器は世界中の船に導入されています。

今回ご紹介するのは、国内で貨物を運ぶ内航船です。

ただ、内航海運業界が抱える課題は多く、例えば地球環境、船員不足、労働環境などの問題もあるといいます。こうした課題を解決しようと、2020年、全国の船舶メーカーや海運会社などが参加して、「内航ミライ研究会」という団体が立ち上がりました。この研究会が開発した「SIM-SHIP(シムシップ)」という船が未来の船として注目されていて、そこにカメラが入りました。

今治市吉海町にある山中造船で、SIM-SHIPが造られています。

まず案内してもらったのは、船を操縦する上で重要な機械が集まる「ブリッジ」と呼ばれる場所です。

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「特徴としては、船の機器全てのデータ、繋いでいるもの全てが映し出されています」

今回開発された、陸上サポートシステム。船がどのような状態で進んでいるのかや、運航時の機器の異常などについて、陸上でも監視ができるシステムです。
また、例えば船の機械に不調があった際、これまではどの部分で修理が必要なのか現場を見て確認しないといけなかったのが、この画面に表示されるようになりました。

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「船員さんは普段、運航に手一杯。修理やメンテナンスの時間がない状態なので、陸上から支援をして、事前に部品を段取りしてそれを素早く届ける、またはサービス員が直す。多く普及することによって、労働負荷低減が望めるのではないかと考えています」

“船のデジタル化”で働き方改革にも期待が持たれています。

次に案内してもらったのは、貨物を収容する貨物艙(かもつそう)の上に被さる「ハッチカバー」と呼ばれるもの。

カバー自体は、巻き取られることによって開いたり閉じたりする、巻き取り型です。

ハッチカバーは、これまでは油圧で動かしていましたが、今回、内航船向けの巻き取り型ハッチカバーとしては初めて電動化。大幅な節電につながりました。

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「プログラムが全て制御していて、プログラムによって開閉が簡単に行えるような設備です。将来的には、リモコンで動いたりとか自動化ができたりとかすればいいなと思っています」

次は、船の前方へ。ここには、「ウインチ」と呼ばれる機械があります。ウインチは、チェーンやロープを巻いたり伸ばしたりするもの。チェーンはアンカーにつながっていて、ロープは岸壁につないで船を寄せるために使われます。今回、このウインチも電動化しました。これまでの船は、油圧で動かしているため騒音がひどく、船員にとって大きな負担になっていたといいます。

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「離着桟は最も神経を使って船員さんにとっても大変な作業と聞いていますので、こういった機器によって低減ができていったらいいなと思っています」

そして、船の後ろには…

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「コンテナ型のバッテリーを搭載します」

ボートデッキと呼ばれる場所には、船員の居住スペースの電源などに利用できるバッテリーを載せる予定で、現在、開発中とのこと。発電機を使うことなく、CO2の削減も期待されています。

SIM-SHIPでは、バッテリーシステムの搭載など従来の船よりCO2の排出量を12%以上減らすことを目標にしているということです。

内航ミライ研究会 曽我部公太専務理事
「内航海運の業界は国内の輸送の中でも非常に重要だと考えております。今後、船を止めない、物流を止めないためにも、この先たくさん増えていったらいいなという気持ちはあります」

このSIM-SHIPは、バリシップの期間中、今治港に展示されていて、25日(木)と26日(金)が業界向け、そして27日(土)に一般公開が予定されています。

© 株式会社あいテレビ