5月23日は『難病の日』。難病患者さんと医師を対象に「難病に関する意識調査」を実施

5月23日は「難病の日」。この機会に「難病」について考えてみよう

不治の病というイメージの「難病」は、一般的に治りにくい病気や治療方法が確立されていない病気の意味で使われていますが、医学的に「ここからが難病で、ここまでは難病にあたらない」というような具体的なガイドラインがあるわけではありません。

厚生労働省では、「発症の機構が明らかでない」、「治療方法が確立していない」、「希少な疾病である」、「長期の療養が必要である」という要件を満たす疾患を「難病」としています。さらに「難病」のうち、「患者数が日本において一定数(現在の基準18万人・人口の0.142%未満)に達しない」、「客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している」という要件を満たす疾患を「指定難病」と位置付けています。

2014年5月23日「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立し、「指定難病」の患者さんに医療費の助成などが行われるようになりました。日本難病・疾病団体協議会では、「難病」の患者さんや家族の思いを多くの人に知ってもらう機会とすることを目的として、難病法が成立した5月23日を記念し、毎年この日を「難病の日」としています。

アストラゼネカグループの日本法人アレクシオンファーマが「難病に関する意識調査」を実施

この調査は、5月23日「難病の日」にあわせ、製薬会社大手のアストラゼネカグループの希少疾患部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズの日本法人、アレクシオンファーマが、指定難病の患者さん500名および指定難病に携わる医師500名を対象に、難病を取り巻く環境について知り、理解を深めるきっかけとすることを目的に「難病に関する意識調査」を実施しました。

「難病」を取り巻く現状について最大の課題は?

患者さん、医師が難病を取り巻く現状について、共に最大の課題として挙げたのは「最適な治療方法がない」ということ。「難病」だからこその課題といえますが、2位以下の回答結果と大きく差をつけました。また、難病患者さんが感じている課題は「周囲の人の疾病理解が不十分である」、「就労に困難がある」と続き、周囲の難病に関する理解不足が患者さんの生活に影響を与えている可能性があることが明らかになっています。一方医師側は、「正しい診断がされない」、「非専門医の疾病理解が十分ではない」など、医療従事者においても「難病」に関する理解が十分ではないという実情があることも浮き彫りになっています。

「難病」の症状発症から診断までにかかる時間は?

難病患者さんと医師それぞれに、「難病」に診断までにかかった時間を尋ねたところ、難病患者さんの34.4%、医師の24.5%が「1年以上~3年未満」と回答し、難病患者さんのおよそ3人に1人が診断までに1年以上を要していることが判明しました。また、難病患者さんの19.4%が「3年以上~10年未満」、10.0%が「10年以上~20年未満」と回答。過半数が半年以内に診断されている一方で、10年以上という超長期の時間を要する難病患者さんもいるなど、難病の診断がされにくい実態が明らかになっています。

医師とのコミュニケーションにおける課題は?

医師とのコミュニケーションにおける課題については、難病患者さんの回答は「医師とのコミュニケーションをサポートしてくれる医療従事者が少ない(46.6%)」が最多。また、一方医師側の約 8 割が「難病ではない患者さんに比べて、より疾患や症状の説明に時間をかける必要がある(78.6%)」と回答。患者さんの不安に寄り添うために、より多くの診療時間が必要と考えていることがわかりました。

「難病」における生活支援の課題は?

難病患者さんと医師それぞれに、「難病」の生活支援における課題については、難病患者さんの約 6割が「通院負担が大きい(59.8%)」、「行政や医療機関の難病に関する相談窓口が周知されていない(58.0%)」、「支援・補助制度の情報がまとめられておらず、わかりにくい(57.6%)」などが課題として挙げられていました。特に「通院負担が大きい」要因として、専門の医師がいる病院への通院やそれに伴う交通費負担などが予測されます。また、「行政や医療機関の難病に関する相談窓口が周知されていない」や「支援・補助制度の情報がまとめられておらず、わかりにくい」のは、行政や医療機関の支援体制に課題を感じていることも伺えます。また、「家族の介護負担」については、負担を感じている方と感じていない方が二極化している傾向があることも判明しています。

「難病」における社会的理解の課題は?

最後に難病患者さんと医師それぞれに、社会における難病に関する理解の現状についての問いは、いずれも「難病の理解向上への啓発活動が不足している」、「難病についての企業の理解が十分でなく、就労に困難がある」、「難病患者さんが社会のなかで孤立しがちである」を課題の上位に挙がっています。特に難病患者さんの 62.6%が「難病の理解向上への啓発活動が不足している」で最多となるなど、「難病」に対する社会への理解と啓発活動が求められる結果でした。「家族の社会的孤立」への課題認識は、選択肢では比較的低いものの、難病患者さんでも見解が二極化していました。

取り組まなければならない「難病」への社会的理解とインフラ整備

不治の病とされる「難病」。特に「最適な治療方法がない」という課題は、「難病」を抱える患者さんと医師双方の願いでもある治療法の確立でしょう。難病課題に取り組み、今回の調査を実施したアレクシオンファーマ笠茂社長は、今回の調査結果を踏まえ「より積極的に多様な機会を通じて難病への取り組みを行い、難病を抱える患者さんやその周りの方々へ希望をお届けしてまいります」と製薬会社として「難病」という社会課題に取り組んでいくとコメント。また、通院への負担や相談窓口など長期的な支援とインフラの整備も急がれます。その一方で「難病」を抱える患者さんへの社会的理解を深める啓発活動もまだまだ不足していると言えます。

5月23日の「難病の日」。これを機会に「難病」に関する実態を今一度考えてみる必要がありそうです。

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