<金口木舌>生産物の背景にある課題

 やんばるを舞台にした映画「HAPPY SANDWICH」は、神様に究極のサンドイッチをつくるというストーリー。農家や漁師など、地域に住む出演者が食との向き合い方を教えてくれる

▼沖縄の「食」を支えるやんばる地域だが、生産者の減少に歯止めがかからない。農林水産省の2020年農林業センサスによると、北部地域の販売農家数は2789戸で、15年比で約21%の大幅減となった

▼「きつい・汚い・危険」の「3K」と呼ばれる農家のイメージを変え、就職先として選べる環境づくりが急務。まずは行政の支援や施策が不可欠だろう

▼営業職から脱サラし、新規就農した50代男性は打ち明ける。「行政に相談したがお金はあるか、土地はあるか、というところから始まり、対応は冷たかった」。担い手不足を解消するためには、足もとの構造改革が必要かもしれない

▼販売農家は取引先ルートの確立、労働力の確保、高齢化など、さまざまな課題を抱える。できるだけ地域の生産物を消費し、その背景にあるものも味わっていこうと思っている。

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