メルセデスからPUやギヤボックスなどの供給を受けるアストンマーティンF1。コンポーネントには「非常に満足」と主張

 アストンマーティンのテクニカルディレクターを務めるダン・ファローズは、メルセデスから供給されたコンポーネントにチームは非常に満足していると主張し、この取り決めが今年のチャンピオンシップで妨げになっているとは感じていないと主張している。

 すべてのパーツを自作するフルマニュファクチャラーとワークスチームだけにチャンピオンシップを制する現実的なチャンスがあるということは、F1の金言として長く受け止められてきた。しかし今年、アストンマーティンはその傾向に逆らい、現在のランキングでは圧倒的なレッドブルに次いで2位につけているが、重要なのはメルセデスとフェラーリの上にいるということだ。

 アストンマーティンはカスタマーエンジン、ギヤボックス、リヤサスペンションのパーツの供給をメルセデスから受ける契約を結んでいる。さらにシルバーストンの自社の風洞の建設が終わろうとしているなか、ブラックリーのメルセデスの風洞施設を使用している。

「(メルセデスから得られるものについて)非常に満足している」とファローズは今月初めにメディアに語った。

「メルセデスから受け取るものが我々のパフォーマンスを制限しているとは思わない」

「もちろんギヤボックス、リヤサスペンション、そしてパワーユニットを受け取っている。しかしこれまでのところ、彼らから受け取るもの以外にすべてがそろっていたらと願う理由はまったくない」

「我々エンジニアは、当然ながら自分たちの抱えている制約に対処している。達成したいと望んでいる目標を達成するのに、そうしたことが我々の足を引っ張るだろうか? いや、まったくそんなことはない。だから我々はこの関係性に非常に満足していると思う」

「私の考えでは、パワーユニットとギヤボックスのその側面について我々は非常に気に入っている。いろいろな意味で心配する必要がないのはとてもうれしいことだ」

2023年F1第5戦マイアミGP ダン・ファローズ(アストンマーティン テクニカルディレクター)

 ファローズはレッドブルで16年を過ごした後、2022年4月にアストンマーティンに加わった。そして彼の着任と時を同じくして、アストンマーティンのペースとパフォーマンスが劇的な改善を見せた。

「チームに加わって1年余りだ。我々はかなりの距離を歩んできた。今年やろうとしていることに深く集中している。我々は短期的なこと、そして2024年に達成できることに重点を置いている」

「今年我々は非常に大きな一歩を踏み出したと思う。だがまだ少し先がある。正直に言うと、そのうちのひとつの分野を指摘するつもりはない。我々はすべてを改善する必要があると考えている」

「レッドブルと比べて我々がどこにいるのか、ある程度考える必要がある。コンセプトとしてのレッドブルは、我々よりも少し長い期間をかけて進化してきた」

「我々は昨年の初めに公然と異なるコンセプトを採用した。それをまだ開発中だ。必ずしも我々のマシンはある分野で特定の強みを持っているわけではないと思う」

「さまざまな分野でそれなりの性能を備えたマシンを生み出すことができたと考えている。特定のコースに最適だと考えられる状態にチューニングすることができる」

「(しかし)特定のコースごとにマシンを最適化しなければならない。つまり、低速コーナーか高速コーナーかに関わらず、他のライバルたちに比べて強さが出ないかもしれない可能性がある」

「我々が比較的強いと考えている分野はあると思う。今のスピードを維持して、同じ哲学で進み続けたいというだけだ」

2023年F1第5戦マイアミGP ランス・ストロール(アストンマーティン)

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