「援農サークル」交流育み20年 筑波大 1日単位で気軽に依頼、就農の足掛かりにも

板良敷さん(左)にサツマイモ定植のこつを教える石田さん(茨城県つくば市で)

農業に興味のある学生と人手不足に悩む農家をつなぐ、筑波大学のサークル「つくば学生農業ヘルパー」が、定植や収穫の繁忙期に農家の“助っ人”として活躍している。農業を学ぶ場としても有益で、卒業後に派遣先の農家で研修する人や、就農した人もいる。

サークルは2000年に学生5人、農家2戸で始まった。学生が農家に行き、時給950円(研修期間は850円)で働く。午前8時から午後5時(実働7・5時間)が基本。1日単位で頼める気軽さが受け、現在は学生40人、契約農家は20戸になった。

LINEを通じやりとりする。農家は4日前に希望人員や作業内容を要請。サークルのシフト係が調整し、現地で働く学生を決める。研修期間(80時間)は原則、先輩学生とシフトに入る。給料は会計係が学生に手渡しし、農家は毎月、利用時間分の賃金をサークルの口座に払う。

芸術や教育関係の学生もいる。品目はサツマイモやトウモロコシ、ニンジン、イチゴなど幅広く、作業は定植や収穫、選別、袋詰めが多い。サークルでは仕事以外も農家と接点を持ってもらおうと、学生との交流会も定期開催する。

つくば市の石田真也さん(56)は、ハウス7棟でベビーリーフ、露地でニンジンなどを栽培。ヘルパーは20年前から利用する。昨年に畑を2ヘクタール増やし「伝統が引き継がれ、初めて来る学生でも安心して仕事を任せられる」と笑顔。契約農家に声をかけ、学生に野菜を配るイベントを提案し、部員集めにも一役買っている。

5年前に代表を務めた鉾田市の梅原崚太さん(26)は、大学院進学を変更して実家のイチゴ農家で就農した。働く先で学んだ経験を生かし、今年から直売所を始めた。「来年は新しい品種に挑戦したい」と意欲を見せる。

課題は、学生の確保。現在は新規農家の依頼を断っており、代表の板良敷朝飛さん(20)は「野菜配布会や説明会などで周知し、部員を増やしたい」と意気込む。

© 株式会社日本農業新聞