
県内でインフルエンザ感染が広がっている。県が発表する1週間の患者数は4週連続で増え、直近は79の医療機関から215人の報告があった。新型コロナウイルスが猛威を振るった過去3年間はゼロで、この時期に200人を上回るのは10年ぶり。専門家は「コロナの5類移行で感染対策が緩んだことが影響している」とみて、注意を呼びかけている。
熊本市西区の内科・小児科「杉野クリニック」では大型連休明けから、発熱を訴える患者が増加。22日は発熱患者のおよそ1割がインフルエンザと診断されたという。通常の風邪も増えており、杉野茂人院長は「コロナの行動制限がなくなり人の動きが活発になる一方で、感染対策が緩んでいるためではないか」と話す。

県によると、インフルエンザは昨年12月以降、1医療機関当たりの患者数が1人を超える「流行期入り」の状態が続いている。1週間の報告数は4月10~16日の92人(80定点)から毎週約10~20人ずつ増加。5類移行直後の5月8~14日は、前週比プラス68人と大きく伸びた。この時期にインフルエンザの報告数が200人を超えるのは2013年以来。新型コロナの感染が広がった20~22年の3年間は「ゼロ」だった。
学級閉鎖や学年閉鎖も相次いでいる。御船町の御船中(生徒数470人)では19日時点で34人が感染。20日まで2日間休校し、20日に予定していた体育大会を24日に延期した。
県の新型コロナ専門家会議委員で熊本大大学院生命科学研究部の松岡雅雄シニア教授は、「コロナ下でインフルエンザが流行せず、集団免疫が低下している。発熱などの症状があったり、高齢者と接したりする場合はマスクを着けるなど、基本的な対策を続けてほしい」と話している。(林田賢一郎)