長崎の被爆写真調査に尽力 深堀好敏さん死去 94歳 

深堀好敏(ふかほり・よしとし)氏

 長崎原爆の被爆者で、公益財団法人・長崎平和推進協会写真資料調査部会の部会長として長年、長崎原爆の実相を伝える写真の収集や検証に取り組んだ深堀好敏(ふかほり・よしとし)氏が21日午後3時5分、肺炎のため、長崎市内の施設で死去した。94歳。長崎市出身。家族葬を行う。喪主は次女康子(やすこ)さん。
 16歳の時、現在の蛍茶屋電停近くにあった動員先の県疎開事務所(爆心地から3.6キロ)で被爆。一瞬にして街も多くの命も消えた「あの日」の記憶、そして原爆で命を落とした2歳上の姉への思いが被爆者としての長年の平和、継承活動の原点となった。
 爆心地周辺の被爆前の街並みを地図上に復元させる市民運動に携わったほか、1979年には市民グループ「長崎の被爆写真調査会」(後の写真資料調査部会)を発足。2002年から18年まで写真資料調査部会の部会長を務めた。収集・検証した原爆写真は4千枚を超え、一連の活動は被爆の悲惨さを国内外に伝える資料の充実につながった。
 17年の平和祈念式典では被爆者代表として「平和への誓い」を述べ、世界に核廃絶を訴えた。同年、長崎新聞文化章=平和・福祉部門=を受章した。

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