「宇宙安保構想」案の全容が判明 政府が初策定、防衛利用拡大へ

首相官邸

 政府が夏にも初めて策定する戦略文書「宇宙安全保障構想」の案全容が判明した。防衛目的の宇宙利用拡大と、衛星など宇宙システムの安全確保が柱。米国と連携して他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の実効性を高め、極超音速ミサイルなどへの対処力強化を目指す。人工知能(AI)といった最先端技術を活用するため、民間との協力も推進する。関係者が23日、明らかにした。

 米国との連携強化は宇宙の軍事利用を進める中国やロシアに対抗するのが狙いだが、米軍の宇宙戦略と一体化しかねないとの懸念も出そうだ。

 構想は昨年12月に決定した国家安全保障戦略に基づき策定し、今後10年程度の取り組みを示す。宇宙を巡る現状について、周辺国が情報収集衛星を大幅に増やしているとして「宇宙開発利用の競争が加速している」と指摘。中国を念頭に、衛星を破壊や無力化する能力を開発している国もあり「宇宙空間の脅威は急速に拡大している」とした。

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