G7首脳が囲んだ「円卓」 完成までの舞台裏 広島市のマルニ木工が製作

議論を交わすG7(主要7か国)首脳が囲む「円卓」に注目します。世界の課題を議論する「中心」にあった円卓は、広島の木工家具メーカーで作られました。その舞台裏を取材しました。

製作は、地元・広島のマルニ木工

広島市の山間部にあるマルニ木工です。創業して95年、難易度の高い技術で木工家具を作り続け、人気商品を数多く送り出してきました。

案内されたのは、見学コースにも設定されない、試作品などを作るスペースです。

マルニ木工 柳田康弘 技術部長
「これが組まれていますが、足の骨組みになります」
― 確かに円卓のような感じ…

円卓の土台に使われるパーツです。

柳田康弘 技術部長
「これは点検口になっていて、天板があって、マイクとかカメラとかの配線が来るので点検することが必要です。すぐ開けられるような感じ」

この上に9枚に分割された大きな天板が貼られて、円卓になります。作るのは、直径3メートルで9人掛けの円卓。

正式発注が決まったのが、2月終わり。制作日数は通常の3分の1ほどの1か月半程度しかありませんでした。

マルニ木工 柳田康弘 技術部長
― 今回のサミットで使われる円卓の特徴は?
「県産材になるんですけども、用意できたのがヒノキ材。ヒノキ材を使っていますというのが特徴」

県内では、戦後に多く植林されたヒノキは香りがよく、肌触りのよい面はあるものの、これだけの大型家具の製造に難しい面もあります。

柳田康弘 技術部長
「まず、やっぱりやわらかいというところで、取り扱いを本当にていねいにしないと、すぐ傷がついてしまう」

さらに針葉樹であるヒノキは、水分の出入りが広葉樹に比べて多いため、2~3日でサイズが変わってしまうこともあるそうです。

柳田康弘 技術部長
「置く方法にしても、必ずこのビニールをかけるとか、なるべく水分の影響を受けにくい環境を作って、その中で保管を」

マルニ木工 技術部 宮迫勝則 さん
「(気を使うのは)ツメでも傷がつく」

― ツメでも傷がつくんですか?
「ここに首脳の方が座って、ここに手を置くわけですよね。見てみないとわからない」

― そのときはテレビでご覧になるんですか?
「見られればいいですが…」

マルニ木工 柳田康弘 技術部長
「G7の日にちは決まっていますので、やっぱり間に合わせないと。円卓を間に合わせるために、いいものを作るために全員がこれに関わっている」

そして、サミットの2週間ほど前…

小林康秀 キャスター
「出荷前の仮り組みが行なわれるというということですが、こちらですね」

会場に搬入する前のチェック作業です。保管方法など精度を高めるために苦労した天板をていねいに貼り合わせていきます。

そして、完成しました。

マルニ木工 技術部 井村美穂 さん
「県産材のヒノキで温かみもあるので、温かいお話をしてほしい」

出来栄えは…

マルニ木工 柳田康弘 技術部長
「すごくいいですね。せっかく広島でやるので、広島っていうのは平和都市だと思いますので、このテーブル自体も広島県産材っていうところで、平和を意識した今後の取り組みとかいうことを積極的に何か話してほしいなとは思いますね」

マルニ木工 土井康義 取締役
「今回、ご指名をいただいたので、今、いってみれば次はぼくたちの番だというような、そんな意気込みでみんな取りかかりましたので、広島をある意味、代表するような、木工を代表するような、そんな技術力でみなさんに評価いただければいいなと思いますしね」

いよいよ、サミット開幕

グランドプリンスホテル広島で始まった会合には、窓からの光に照らされたヒノキの円卓が…。

そして、このワーキングランチでは、「HIROSHIMAアームチェア」も採用されました。

サミットの様子を見て、どのように感じたのでしょうか。

マルニ木工 土井康義 取締役
「誇らしくてたまらない。日本で行なわれたサミットを超えて、世界の中で行なわれるサミットの中でも本当に歴史的なサミットになったといろんな報道を聞いていますし、すごく広島県人としてもうれしいですし。広島の企業が非常に多く参加しましたので、いろんなところから注目をいただいて、広島の発展になっていければいいのかなあと思います」

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