施設の老朽化などを理由に来年3月末で閉館する青森市の棟方志功記念館について、ねぶた名人の千葉作龍さん(76)ら有志が存続を求める署名活動を始めた。インターネットなどを通じて8月末まで署名を呼びかけ、9月に新知事と青森市長に陳情する。
23日、県庁で記者会見した千葉さんは、志功が設立した洋画団体「青光画社」の仲間だった七戸町出身の洋画家鷹山宇一の記念美術館が同町にあることに触れ、「七戸町が存続できて青森市が存続できないのは個人的に許せない。悔しいし、恥ずかしい」と語気を強めた。
署名活動は、千葉さんを代表とする「棟方志功記念館存続署名の会」が21日から実施。会見には、郷土史家の相馬信吉さん(71)、舞踏家の福士正一さん(69)も同席した。
閉館の発表から1年近くが経過した段階で署名活動を始めた理由について、相馬さんは「何カ月たっても(存続を求める)声が上がらない。仲間と話し合い、新しい知事や青森市長が選ばれるこのタイミングが一番良いということになった」と説明。福士さんは記念館の敷地で踊った経験を挙げ、「思いを寄せた場所の記憶は残る。海外の仲間たちを含めて署名を呼びかけたい」と力を込めた。
記念館を運営する財団法人の理事長を兼務する小野次郎館長は、取材に「熱意は受け止めるが、組織として決まった方針に沿ってやるべきことを進めている段階。行政の動きなどは見守っていきたい」と述べた。
署名活動の詳細は同会ホームページか、同会事務局(奏海=かなみ=方、電話017-777-6200)へ。