【第2回WUBS】東海大シーガルス陸川 章監督 - 「グッドディフェンスでそう簡単にはやられないぜという気持ちを表現したい」

昨年8月に初開催となったWUBS(Sun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ、以下WUBS)で、日本から唯一出場して準優勝に輝いた東海大が、今夏の第2回WUBSにも参戦する。昨年7度目の大学日本一に輝いたシーガルスは、世界各国の強豪大学に対しどのようなプレーを見せるだろうか。

陸川 章監督は昨年の大会を振り返り、「海外のトップチームが単独で集まってプレーする大会は初めてで、経験としてすごく大きかったです」と語った。2年連続出場の意義も感じている。「国際ゲームを経験してフィジカル面でも戦う、気持ち的にも強くなるというのが今年またできる。今回はアメリカ、オーストラリア、韓国も加わり、こんなチャンスをいただけて幸せだし、絶対に生かしたいと思います」

普段対戦できない海外チームとの対戦は、プレースタイルやフィジカルの違いなど、世界標準のバスケットボールを体感する機会であることも認識している。フィジカル面の強化を重視する陸川監督は、「我々もそこは鍛えているところ。何が通じて何が足りないかを見つける機会になるので楽しみです。ワクワクしていますよ」と笑顔を見せる。

スプリングトーナメントのベンチで指揮を執る陸川 章監督。WUBSの意義も強く感じているようだ(写真/©月刊バスケットボール)

陸川監督によれば、今年のチームは、キャプテンの黒川虎徹(4年)の呼びかけで「インカレ連覇を目標として原点回帰」というキャッチフレーズを掲げている。ゴールデンウイーク中に上位戦が行われた第72回関東大学バスケットボール選手権大会(スプリングトーナメント)では7位だったが、思えば昨年もこの段階ではベスト16どまりだったのであり、チーム作りの経過の中で、心配するような成績ではない。

戦った5試合は3勝2敗という経過で、小柄なフロントラインを生かす得点面の工夫にはまだ課題もあるが、平均失点が59.0と機動力に富んだディフェンス力が光る戦いぶりだった。陸川監督は「ディフェンスをチームとして練習してきて、それが表現できたのは良かった。けが人が多かったですけど1年生6人が実戦を経験できたことは、今後に向けてすごく良かったなと思います」と手応えを語っていた。

黒川もディフェンスに対する意識の高さ・強さはしっかり心にとどめている。WUBSに向けてチームのどんなところを見てもらいたいかを聞くと、「それ(ディフェンス)を体現して、今年は本当に総合力で戦っていかないと勝てません。そういったところを皆さんにも見ていただきたいです」と語っていたが、スプリングトーナメントの試合でも、原点回帰の言葉どおりおごった姿勢を微塵も感じさせず、チームの土台となるべきディフェンスを徹底する意図が明確に表れていた。

Sun Chlorella presents World University Basketball Series大会公式サイト

激闘となった専修大とのスプリングトーナメント準々決勝、君座武志(左#23)との連係で得点機をうかがうキャプテン黒川虎徹。45-49で敗れたものの、スコアが示す通りディフェンス面の意識の高さは十分表れていた(写真/©月刊バスケットボール)

\--{初戦の相手はNCCU(チャイニーズ・タイペイ)、次戦でラドフォード大と対戦の可能性}--

初戦の相手はNCCU(チャイニーズ・タイペイ)、次戦でラドフォード大と対戦の可能性
現時点でロスターの核となっているのは、まずガード陣がキャプテンの黒川、スプリングトーナメントでも豪快なダンクで会場を沸かせたハーパー ジャン ローレンス ジュニア(3年)、そして轟 琉維(1年)の3人。ウイングとビッグマンでは、スプリングトーナメントの8強以上の3試合(準々決勝、5-8位決定戦、7位決定戦)でチームトップの平均12.3得点を挙げたシューティングガードの西田公陽(4年、SG)、柔軟性の高いオフェンスやリバウンドでの奮闘で力となっていた江原信太朗(4年)、ベンチから登場して上記3試合でチーム最高の平均6.0リバウンドを記録した君座武志(2年)ら。登録メンバー15人中の最長身だった1年生の横山蒼太(195cm、PF)もスターターとして起用されており、まだ数字に現れるような存在感はないものの今後の成長が期待される存在だ。

彼らのステップアップはもちろんだが、黒川が言うように総合力で今年度の各大会を勝っていくには、部員全員の成長がカギとなるだろう。その意味でも、ユニークかつ強烈な体験をできるWUBSは、意欲の源となるに違いない。

江原信太朗の攻守における力強いプレーはWUBSで東海大が好成績を収めるには欠かせない(写真/©月刊バスケットボール)

☆スプリングトーナメントの登録プレーヤー
※記載は左から背番号、名前(学年、出身校)、ポジション、身長(cm)/体重(kg)

#0 黒川虎徹(4年、東海大諏訪) PG 177/72
#1 元田大陽(4年、北陸学院) SG 190/82
#2 轟 琉維(1年、福岡第一) PG 169/66
#3 ハーパー ジャン ローレンス ジュニア(3年、福岡第一) PG 181/80
#4 中川知定真(1年、東海大諏訪) PF 192/92
#10 ルーニー慧(1年、正智深谷) PG 183/76
#11 久朗津 広野(2年、東海大札幌) PF 190/83
#16 西田公陽(4年、福岡大附大濠) SG 186/80
#17 横山蒼太(1年、実践学園) PF 195/87
#20 神戸辰郎(1年、東海大相模) PF 192/190
#23 君座武志(2年、宇都宮工業) C 188/95
#25 江原信太朗(4年、実践学園) F 192/89
#26 小林 巧(3年、神戸村野工業) PG 183/73
#38 御林広樹(3年、東海大相模) PF 188/89
#77 直井隼也(1年、北陸学院) SG 183/73

日本の大学かいでは、ポイントガードのポジションでずば抜けた身体能力の高さを持つハーパー ジャン ローレンス ジュニア。海外の強豪相手にどんな活躍を見せるか注目だ(写真/©月刊バスケットボール)

東海大が第2回WUBSの初戦で戦うのは、昨年のWUBSでも対戦したチャイニーズ・タイペイの国立政治大学(NCCU)だ。昨年は東海大が90-74で勝利したが、その後国内の大学リーグUBAで3連覇を達成して士気もいっそう高まっているはずであり、今回はさらに面白い試合になるだろう。

仮にNCCUに勝利できたとすると、次の対戦相手は高麗大(韓国)とラドフォード大(アメリカ)の勝者が相手。もしNCCUに敗れた場合には、この両チームの敗者が相手となる。

仙台大明成高出身の山﨑一渉が所属するラドフォード大との対戦が、両チームが勝った上で実現すれば、それは決勝進出をかけたビッグゲームにもなる。見どころの多い試合になるのは間違いないが、陸川監督は「うちは大きくはないけど、グッドディフェンスでそう簡単にはやられないぜという気持ちを表現したいです」と強豪チームとの対戦に意欲を見せている。

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