ヒョンデが最高680PS、デュアルモーター駆動の水素燃料電池車『N ビジョン74コンセプト』披露

 5月20~21日にイタリア、コモ湖で開催された世界最古の自動車コンクール・デレガンス『コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2023』にて、ヒョンデは水素燃料電池車のコンセプトカー『N Vision 74 Concept(N ビジョン74コンセプト)』を披露した。

 世界中から希少なクラシックカーが一堂に会する、権威あるコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステに登場したこのクルマの外観は、イタリアの伝説的デザイナーのひとりであるジョルジェット・ジウジアーロが考案し1974年に発表された『ポニークーペコンセプト』からインスピレーションを受けたものとなっている。

 レトロなエクステリアとは対照的に、パワートレインにはヒョンデの最先端テクノロジーが盛り込まれた。ヒョンデは“Rolling lab(ローリングラボ)”と呼ばれるプログラムを通じて、将来の生産モデルのための先進技術のテストと検証を行っているが、その研究成果のひとつであるバッテリーモーターと水素燃料電池システムの長所を組み合わせた、独自の水素燃料電池ハイブリッドアーキテクチャーがこのクルマの心臓部に採用されている。

『N ビジョン74』はハイパフォーマンスを優先して開発された結果、EVのような低温充電状態での電力劣化がなく、安定した出力を発揮することを可能とした。そのパワーは最大680PSに上り、後輪に配置された左右独立型デュアルモーターを介して路面に伝えられる。0-100km/h加速のタイムは4秒以内だ。

 わずか5分という充電時間と相まって、将来の持続可能な高性能モビリティへの道筋を示すこのコンセプトカーのフロントには、85kWの水素燃料電池スタックが配置されている。またドライバーとパッセンジャーの間には62kWhのリチウムイオンバッテリー、リヤには2.1kgの水素タンクが搭載され、これらの組み合わせにより約600kmの走行距離を実現している。

「私たちが想像していた未来は、徐々に現実のものとなりつつある」と語るのは、ヒョンデ・モーターグループのチーフクリエイティブオフィサーを務めるルク・ドンカーヴォルケ。

「クルマは移動手段から、ライフスタイルを拡張するモビリティ・プラットフォームへと変貌を遂げようとしている。このデザイン変革の中心に立ち、我々のレガシーからインスピレーションを得て、未来のモビリティのかたちを切り拓いていく」

 ヒョンデ・グローバルデザインセンターのイ・サンヨプ デザイン担当副社長は、「ヒョンデ・モーターカンパニーのデザインDNAのルーツを明らかにし、我々のデザインヘリテージの始まりとなった国、イタリアでこのような権威あるイベントに参加できることを大変光栄に思う」とコメント。

「N ビジョン74は、ポニークーペコンセプトの大胆なスピリットを継承し、韓国初のスポーツカーを作るというエンジニアの夢を実現する未来的なデザインとして、これまでの努力への賛辞と未来への宣言が込められている」と続けた。

ヒョンデが『コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ』に初参加。N ビジョン74コンセプトを披露した。
ポニークーペコンセプトの大胆なスピリットを継承し“韓国初のスポーツカーを作る”というエンジニアの夢を実現する未来的なデザインが与えられた『N ビジョン74』
ヒョンデN ビジョン74コンセプト
1974年トリノモーターショーでの初公開から約50年を経て、2023年に復元されたポニークーペコンセプト

© 株式会社三栄