選挙直前の政治集会に著名作家 小田原市議の角田氏 無償で一般市民参加 公選法違反か 市長や参院議員も登壇

著名な歴史作家を招いて行われた講座の会場の様子(読者提供)

 4月の小田原市議選に自民党推薦で立候補して再選を果たした角田真美氏(55)が、選挙直前の政治集会に著名な歴史作家を招いて講演会を行い、そこに無償で一般市民らを参加させていたことが23日、分かった。県選挙管理委員会と市選管は「公職選挙法に抵触する可能性がある」と指摘。後援会向けとは別に文化講座を装った一般向けのチラシも作成しており、角田氏は神奈川新聞社の取材に「悪意はなかった」などと釈明した。

 関係者によると、集会はふるさと小田原研究会による一般公開講座という形で3月に小田原三の丸ホール(同市本町1丁目)で開催。参加者によると、会場には角田氏の後援会の旗が掲げられ、角田氏の政治活動を報告するパンフレットが来場者に配られた。集会は2部構成で、第1部では守屋輝彦市長と井上義行参院議員(比例代表)が登壇して角田氏への応援演説を行い、第2部で小田原北条家の著作がある歴史作家が講演したという。

 市選管は「作家に講演料などを支払い、無償で講演を聞かせれば公選法で禁じている有権者への寄付に当たる恐れがある」と指摘。同社の取材に角田氏は講演料の支払いを認め、作家は「ふるさと小田原研究会から依頼を受けて実施し、謝礼を頂いた」と説明している。

 開催を知らせるチラシは後援会向けと一般向けの2種類が用意され、後援会向けには角田氏のイラストや後援会名などが記されていたが、一般向けにはそれらの記載はなかった。市から「選挙前に候補者名は掲示できない」としてチラシから角田氏の名義の削除を求められたためで、一般向けチラシは市施設にも置かれ、希望者は氏名と連絡先を記入し申し込む形だった。

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