ブラジルで野鳥が鳥インフル 鶏肉最大輸入先 農水省「感染状況を注視」

鶏肉輸出量が世界最大のブラジル政府は22日、野鳥での高病原性鳥インフルエンザ「H5N1型」の感染を確認したとして、全土に180日間の動物衛生緊急事態を宣言した。農水省によると、ブラジルでの感染確認は初めて。同省は「現時点で鶏肉や鶏卵の輸入に影響はないが、今後の感染状況を注視する必要がある」(動物衛生課)としている。

今後、家禽(かきん)で感染を確認した場合、日本は発生した州からの鶏肉や鶏卵の輸入を停止する。日本が輸入する鶏肉の7割はブラジル産で、需給への影響が懸念される。

ブラジルでは今月、鶏肉生産が盛んな南東部のエスピリトサント州とリオデジャネイロ州の野鳥で計8件の感染が確認された。政府は鳥類を集める展示会などのイベントを停止。住民に病気になったり、死んだりした鳥を回収しないよう求めている。

日本とブラジルは、家禽で発生を確認した場合でも、発生していない州の鶏肉・鶏卵は輸入できる「地域主義」を適用することで合意。発生州からの輸入再開は、防疫措置が完了してから90日間、新たな発生がないことなどが要件になる。

鶏肉の輸入量は、国内消費量全体の3、4割を占める。同省によると、調製品を除く鶏肉の輸入量(2021年)のうちブラジル産は43万トンに上る。日本は国内での同病発生で加工用鶏卵が不足し、3月以降は鶏卵もブラジルから輸入する。3月は249トンの殻付き卵の輸入実績があった。

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