東北電女川原発、差し止め認めず 異常事故「前提にできず」

判決後「不当判決」と書いた紙を掲げる原告(右)ら=24日午前11時3分、仙台地裁前

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故時の避難計画に不備があるとして、石巻市民17人が東北電に2号機の再稼働差し止めを求めた訴訟の判決で、仙台地裁は24日、請求を棄却した。原告側は、重大事故発生の危険性を立証しておらず、斉藤充洋裁判長は「放射性物質を異常に放出する事故が起きる具体的な危険が存在することを前提とすることはできない」と指摘した。

 原告側が最大の争点とした避難計画の実効性については「判断するまでもない」とし、門前払いに近い判決となった。原告側は控訴を検討する。

 東北電は2024年2月、東日本大震災の被災地で初となる2号機の再稼働を目指している。

 原告側は、道路は避難者の車で渋滞が発生し、原発30キロ圏内に長時間とどめられ、放射線被ばくの高リスクを負うと主張。

 石巻市民は30キロ圏外の避難所へ向かう前に放射性物質に汚染されていないかどうか調べることになっているが、交通渋滞で宮城県や東北電の派遣要員が到達できず、検査場所を開設できないとも訴えていた。

宮城県の東北電力女川原発。左手前が2号機=2020年8月

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