スマホかざすと大槌の遺構再現 町、震災伝承へARアプリ開発

観光船はまゆりが乗り上げた民宿あかぶ(大槌町提供)

 大槌町は、東日本大震災で被災し、解体した旧役場庁舎と民宿あかぶを拡張現実(AR)技術で再現する「震災伝承アプリ」を開発した。アプリを入れたスマートフォンを跡地でかざすと、画面内に遺構が浮かび上がる仕組み。実際に見えている風景に重ねて写真を撮ったり、押し寄せた津波の高さを表示したりすることができ、震災伝承への活用が期待される。

 再現したのはともに被災後の姿。旧庁舎は解体工事の囲いが設置される前、民宿あかぶは屋上に観光船はまゆりが乗り上げた状態をリアルに仕上げた。

 町が画像や動画などの資料を収集し、凸版印刷(東京)がコンピューターグラフィックス(CG)で建物の全方位から立体的に復元。スマホのカメラから利用者の位置情報を取得する技術も活用し、建物の正面だけでなく裏側から眺めたり、近づいて見上げたりすることもできる。

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