デジタル活用で医師とコミュニケーション手段向上を模索する製薬業。その投資効果は?

[vc_row][vc_column][vc_column_text]全世界の製薬業界にとってデジタルを活用して医師との関係を維持、発展させるためのデジタル戦略の模索が続いています。デジタル技術により、従来はアプローチが難しいとされていた医師とのコミュニケーションが向上しています。Eメールによるコミュニケーションや情報の提供は一般化し、アプリやチャットの活用も進んでいます。医師のデジタルネイティブ世代化が進む一方で、直接の会話時間、面談時間の減少傾向は進んでいます。多くの製薬会社は、一連のデジタルツールによるチャネルを使用するだけでは不十分と考え、医師とのコミュニケーションと機会を向上するために、適切なデジタルツールを活用し、これらを通じた新しいエンゲージメントの方法を構築、実践する必要があります。

例えば、デジタルツールを用いて医師とのより高いレベルのエンゲージメントを達成するために、より洗練されたツールから導かれたパーソナライズされたコンテンツを適切にターゲットとする医師に提供することが有効です。現在、AIやマシーンラーニングを活用したソリューションを始めとし、音声認識ツール、チャットボット、バーチャルリアリティの技術などが使われ始められています。これらの試みは期待と興奮をもって業界内での話題となっています。

さて、このような期待と興奮をもって活用されているデジタル技術を用いた医師との新たなエンゲージメントの手段ではありますが、実際に製薬企業にとって投資に見合う有効的な結果が得られているのでしょうか?

FirstWord社が実施した調査ではグローバル製薬大手がデジタルチャネルを活用して、医師とのエンゲージメントのレベルをどのように高めているのか現状と将来展望を明らかにしました。今日はそのレポートの中から得られたいくつかの知見を含めてデジタル戦略の傾向を考察してみたい。

目次

AIを活用した医師とのコミュニケーションの将来

医師とのコミュニケーションのために、多くの製薬企業はメディカルコールセンターやメディカルセンターを設け、活用しています。しかしながら、これらのコールセンターでのかかっている時間と適切な回答や対応がなされているのかが課題です。具体的な質問がある場合、これらの質問に答えるのに時間がかかりすぎてしまっていてはコールセンターの価値がありません。そして、いくつかの回答は、医師まで届くことなく、組織内で迷子になっている場合もあります。コールセンターの活用に関して、あるエキスパートは以下のように意見を述べています。

「私達は、いつでも回答できるよりよいサービスをいかに提供するかということに注力をしなければならない。最大限の努力と時間の結果、医師をたらい回しにしてしまうだけのサービスよりも、速やかに、かつ信頼できる回答を「ウエブサイト/デバイス上のボット技術」を用いて提供するという方法が今後の傾向ではないかと見ている。ボット技術は、持っているデバイスに関係なく、デバイスに質問を話しかけるだけでAIが回答をすぐに返答します。それらは私が最優先するデジタル技術です。」

彼は、医師が必要とする診断と治療をサポートするために、あらゆるチャネルを介して情報を提供し、それらの回答に対し医師がいつでもどこからでもアクセスできるようにする必要があると強く主張している。

AI、マシーンラーニングだけでなく、音声および自動化ボット環境の利用の広がりと改善が今後3〜5年間で進化、改善が見られると期待しています。

「技術的に、私たちはまだそこにはいませんが、それがデジタルと新しいテクノロジーへの期待と強みであると考えます。」

医師に対する情報提供の手段はどう向上する?

多くの場合、製薬会社が医師と情報交換する場合、iPadといったようなデバイスの活用が一般的となっています。従来の紙の販売支援ツールを使用して医師へ情報提供をするのではなく、デバイス、メールなどを活用、電子的に行われ、フォローアップも以前より迅速に行われています。

以前は、医師と面談した後、営業担当者はフォローアップの情報を提供するために、自宅やオフィスに帰らなければならない場合が当たり前でした。これは単なる「ありがとう」のメールであろうと、会話の中でフォローアップの返答で添付ファイルや論文記事など重要な情報であってもそうでした。これは、時間のかかるプロセスでした。

インタビューをしたデジタル担当の方は、このプロセスはデジタルを活用することで、それこそ瞬間的に実行されることが可能であり、医師とのコミュニケーションの向上と関係維持をはかることが出来ていると述べています。

「医師との会話が進行している間に、営業担当者はVeeva(またはその他同様のプラットフォーム)にアクセス、提供したいコンテンツを選択するだけで、「ありがとうございます。ご存知のとおり、今お話ししていた内容をメールでお送りします」といった内容を「瞬間的に」医師に情報提供することが可能です。」

データを活用してのターゲット医師をセグメント

通常の活動の中で製薬会社は非常に多くのデータを得ています。これらのデータは加工され更に効率の良い、効果的な活動へ利用されます。これらのデータは最新技術を使わなくとも医師のセグメント化など従来から製薬会社の活動に活用されています。

ここでの課題は、さらに膨大に得られた情報をAIや行動科学を使用し、情報処理し、効果を高めるために実際に現場でどのように活用されるかです。

医師の属する診療科、居住地、所属団体などの基礎的な情報、処方動向や、製品への好みなどより複雑な条件、オピニオンリーダー的な存在かどうか、新しい技術や研究内容を活用する人なのかなどの営業が面談で得られる主観的なデータなど医師の属性情報として収集、データ解析もされ活用されています。

現在のデジタルツールを活用することでネットやアプリの閲覧履歴などのデータも活用となります。これらは情報量が大きく複雑であるため従来のような情報の処理方法では現場での結果に結びつけるような活用は難しいと考えられていました。
しかしながら、現在はデジタルツールの活動で、医師の関心の高い情報をより的確に把握することも可能です。

ターゲットとする医師がアプリやネットを活用し、Medscapeにある製品の情報を検索、有効性に関するデータを閲覧します。そしてその医師は同じ情報をグーグルでも検索してネット上で再び有効性について調べていることがわかったとします。

このような情報をもとに、AIなどを活用したデジタルツールが私達に対して自動的に「あなたはこの医師に対して有効性に関する情報を提供してはいかがですか?」との情報が届きます。

大手製薬会社でデジタル担当の方はインタビューに対してこのように述べています。

「このような情報をもとにして、私たちは更に効率よくこの医師に対しP2Pのプログラムへの参加を促すことも可能です。このように医師のセグメント化による活動からデジタルを活用することでより絞り込んだ対象に対して、よりフォーカスした活動を実施することが可能です。」

デジタルツールを効果的に活用するには?

製薬企業にとって医師との情報交換は重要です。メディカルアフェア部門、営業部門、マーケティング部門、そしてR&D部門が、いかにして医師とのより良い、価値の高いコミュニケーションを、デジタル技術、デジタルチャネルを活用して実施することに期待が高まっています。

しかしながら、各部門が各々のデジタルツールの活用をし伝統的な組織・構造を基礎にツールの活用や施策を実践してきていることで機能的なオーバーラップも見られます。

医師を製薬企業にとってのカスタマーとして、カスタマーファーストのマインドセットを試みることで、中心となるリードチームをハブとして組織は横断的に協力、全体で達成したい目標の指標を他の部門とも共有し達成することを可能にするような取り組みが必要です。

新型コロナウイルスが及ぼす製薬企業のデジタル戦略は?

今回の調査は新型コロナウイルスによるロックダウンの最中である2020年3月に実施されいます。そのため、従来のように医師や専門家との直接対面での面談がほぼ出来ない状況を目の当たりにして、より実践的にデジタル技術を活用することが大きな課題となっております。非対面での医師とのエンゲージメントの維持、向上にとってデジタルツールを活用したチャンネルは今まで以上に要望が高いと言えます。

一方で、従来の面談形式での情報交換と同様の質の担保は未知の領域であるとも言えます。そのような中で製薬企業は、デジタル戦略の方向性を明確にし、適切なデジタルに対する投資とベンチマークを実施することで、医師や専門家とのコミュニケーションのレベルを次の段階に高めるようにこれらのツールを活用して行かなければなりません。

製薬会社にとってデジタル戦略はまだまだ未開拓の分野で、未だにデジタル分野への投資に対して及び腰の企業もありますが、今後も医師とのコミュニケーションに対してデジタルツールを活用することでエンゲージメントを高める試みはこれからも試されていくものと考えられます。

デジタル技術の活用への期待は更に高まっており、多くの課題に対して解決方法を提供するデジタル戦略は、新型コロナウイルスの影響から、さらに注目と期待が集まることと思われます。[/vc_column_text][vc_row_inner][vc_column_inner][vc_column_text]

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Title:Trends in Digital Physician Engagement
発行月:2020年4月
発行会社:Firstword Pharma社
シングルユーザーライセンス 3,295米ドル
複数ユーザーライセンス 7,995米ドル
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