カンボジア国連平和維持活動(PKO)で1992~93年に派遣された日本人文民警察官の隊長を務めた元警察官僚山崎裕人さん(70)が24日までに、「厳秘」と記した総括報告を共同通信に明かした。隊員の車列が武装勢力から「集中砲火」を浴び「1メートルの至近距離から1発」、とどめの銃弾を受けて死亡した事件を詳述。約70人の隊員に帰国を前提に撤収を命令、翌日に撤回するなど混迷した内情を記した貴重な記録だ。
襲撃は93年5月で、岡山県警派遣の高田晴行さん=当時(33)=が死亡、文民警察官4人もけがをした。事件から30年たち詳細が判明した。日本は停戦合意などPKO参加5原則を基に自衛隊部隊と警察官を初派遣。「安全な所はどこにもない」実情が改めて浮き彫りになった。
ポル・ポト派の襲撃とみられた。6台の車列で、高田さんら文民警察官とオランダ軍幹部が乗った2台が残され「集中砲火を浴びた」。
武装兵2人が「高田に車から降りるように指示、『ギブアップ、ギブアップ』と叫ぶ高田に、1メートルの至近距離から1発、銃弾を撃ち込んだ」。