村上春樹さんにスペイン皇太子賞 文学部門「革新的な叙述」

村上春樹さん

 【パリ共同】「スペインのノーベル賞」とも呼ばれるアストゥリアス皇太子賞のうち文学部門の今年の受賞者に、作家の村上春樹さんが決まった。賞の財団が24日発表した。文学部門での日本人の受賞は初めて。

 審査員らは授賞理由で、村上さんの著作に関し「普遍的な視野」を持ち「日本の伝統と西洋文化の遺産を革新的な叙述で調和させている」と指摘。「孤独や存在的不安、都市の非人間化、テロといった現代の重要な主題や困難を表現することに成功した」とたたえた。

 ことしの文学部門は17国籍の37候補の中から選ばれた。授賞式は通常、北部オビエドで10月後半に開かれる。

 アストゥリアス皇太子賞は、スペイン国王フェリペ6世が皇太子だった1980年に皇太子の称号を冠して設立された財団が81年から授与。芸術や文学、科学研究、スポーツなど8部門ある。99年に宇宙飛行士の向井千秋さんが日本人として初めて、米ロなどの宇宙飛行士3人と国際協力部門で受賞。昨年は共存共栄部門で建築家の坂茂さんが受賞した。

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