熱中症対策は夏前の今こそ大事 「暑熱順化」知ってる? 1日30分、2日に1回で効果のある方法とは

 鹿児島県内では気温が上昇する日が増えてきた。本格的な暑さが到来する前の熱中症対策として推奨されているのが、体を早めに暑さに慣らす「暑熱順化」。なじみの薄い言葉だが、スポーツ選手の海外遠征でも導入されているという。専門家は無理のない範囲で体を動かし、汗を出すよう呼びかけている。

 日本気象協会によると、人は汗をかいたり、血管を広げたりして熱を逃し、体温を調整する。この調整がうまくできなければ、熱中症が起きる。暑熱順化が進むと、発汗量や血流が増加するという。

 同協会は週5回、1日30分のウオーキングや2日に1回は湯船に入ることなどを有効な対策に挙げる。鹿屋体大スポーツ生命科学系の藤田英二教授(51)は「強い運動ではなく、30分間の早歩きくらいでいい」とアドバイスする。

 湿度が高い梅雨時期も熱がこもりやすく、熱中症への注意が必要。藤田教授は「みそ汁やスープを加えた食事をしっかり取って」と薦める。水分は飲料水だけでなく、食べ物からも吸収できるためだ。

 阿久根市健康運動指導士の片川智美さん(42)は「足腰が弱い高齢者らは、体を満遍なく触るだけでも血流が良くなり、体温が上がる。まずは自分の体に関心をもつのが大事」と呼びかけた。

【図解】日常生活でできる「暑熱順化」するための動きや生活がよく分かる

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