重力波観測へ、「かぐら」再開 大型望遠鏡改良、20年以来

研究施設で取材に応じる東京大宇宙線研究所の大橋正健教授=24日午後、岐阜県飛騨市

 ブラックホール同士の合体などで生じる宇宙の重力波を捉えるため岐阜県飛騨市の地下に建設された大型望遠鏡「かぐら」が25日、観測を再開した。2020年に短期間稼働した後、新型コロナウイルスの流行で停止して以来。この間に感度を上げる改良をしていた。

 今回は欧米の重力波望遠鏡と連携する新プロジェクトに参加し、1カ月観測する。その後再び感度を上げる調整をして来春、3カ月稼働する予定。かぐらの観測を率いる東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授は「運が良ければ重力波の兆候を捉えられるだろう」と話す。

 重力波は、物体が動いたときに生じた空間のゆがみが、さざ波のように伝わる現象。巨大なブラックホール同士や重い中性子星同士の合体で生じ、遠く離れた地球まで届く。宇宙の成り立ちを知る手がかりになる。

 かぐらは地下約200メートルのL字形のトンネル内にそれぞれ長さが3キロの真空のパイプを設置。L字の角から両方のパイプの中に同時にレーザー光を発射し、先端の鏡で反射して戻ってくる光を観測する。重力波により空間がゆがめば距離が伸び縮みし、光が戻る時間がずれるのを検出する。

東京大宇宙線研究所の研究施設=24日午後、岐阜県飛騨市

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