メジャーで大活躍のクラブプロが“10年モノ”アイアンを使い続ける理由

「全米プロ」で大活躍したマイケル・ブロック。ちなみにこのパターは20年モノ(Scott Taetsch/PGA of America via Getty Images)

たった一度の週末が、レッスン1回150ドルとしていた南カリフォルニアの“無名”ティーチングプロをゴルフ界で誰もが知る存在に変えた。

「全米プロゴルフ選手権」最終日、マイケル・ブロックは15番(パー3)で伝説に残るホールインワンを達成すると、最終18番では“ノーチャンス”と思われた寄せワンのパーセーブに成功して15位タイで大会を終えた。

歴史的なパフォーマンスにより、賞金28万3333ドル(約3922万円)の小切手に加えてケンタッキー州バルハラGCでの2024年大会の出場権も獲得。しかし、一介のクラブプロがかなえた夢はそれだけでは終わらなかった。今週コロニアルCCで開催される「チャールズシュワブチャレンジ」、さらに2週後の6月「RBCカナディアンオープン」へのスポンサー推薦による出場も決まったのである。

調整用に貼った鉛が“一体化”しつつある(GolfWRX)

チャールズシュワブチャレンジの開幕を控えた火曜、GolfWRX.comはブロックがオークヒルでの日曜にエースを決めたテーラーメイド ツアープリファードMC(2014年モデル)の7Iについて話を聞いた。

メジャーでの活躍を受け大反響の中には、このクラブを5万ドル(約692万円)で購入したいというオファーも含まれ、大会を主催したPGAオブ・アメリカもゴルフ史の一部として陳列を希望しているそう。この7Iがどこに落ち着くことになるのかは、ブロック自身も見当がつかないとのこと。今のところは、チャールズシュワブチャレンジに出場する彼のバッグに収まったままだ。

46歳は、2014年からこのテーラーメイドのアイアンを使い続けている理由についても語った。

「僕はこれが仕事を果たしてくれると知っている。以上だよ。飛ぶから使っているわけではないし、それ以外に理由はないんだ。僕はこれまで、たくさんのテーラーメイドのアイアンでプレーしてきた。新しいMCも試した。それらは素晴らしいフィーリングだったし、何もかも良かった。ただ、見ての通り僕のアイアンやウェッジは年季が入っていて、パターなんか20年モノなのだけれど、ひとたび特性を把握できるクラブを見つけると、それを使い続けるのさ。これはプレッシャーのかかる状況では、特に重要なことだね。プレッシャーのかかる場面では、(そのクラブで打つと)何が起こるのかしっかり把握している必要があるし、僕はこれまで新しい物をプレッシャーの中で使用すると、必ず失敗してきたんだ」

月日を物語る打球痕(GolfWRX)

アイアンが若干軽く感じ始めたため、「確か4、5年前から」貼るようになったという鉛テープ(鉛テープ自体はゴルフクラブに対する一般的な加重方法である)。長い年月により、クラブヘッドの金属部分と一体化しているようにすら見える。

また、長年にわたり繰り返しフェースの中心で打ってきたことを示す打球痕も深々と刻まれている。

ブロックのセットアップは10年モノのアイアンに加え、新しいテーラーメイド ステルス2のメタルウッド、ステルスUDIドライビングアイアン、ミルドグラインドとMG3ウェッジ、そして20年モノのオデッセイ ホワイトホット 2ボールパターで構成。全体的には“新旧折衷”の組み合わせとなっていることが分かる。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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