こだわり乳製品 新販売方式が続々 6次化商品を移動販売 乳業、百貨店各社

森永乳業の移動販売車では、牧場や味の特徴を伝えながら酪農家の6次化商品を販売する(24日、東京都荒川区で)

こだわりの牛乳やチーズといった乳製品を消費者に届ける、新たな切り口の販売手法が続々と登場している。大手乳業メーカーの森永乳業は24日、移動販売車で酪農家の6次産業化商品を販売する新規事業を始動。百貨店では、ミルクに特化した食イベントが注目を集める。対面で魅力を伝えることで、酪農のファンづくりのきっかけとしても期待がかかる。

森永乳業の移動販売車では、牧場や味の特徴を伝えながら酪農家の6次化商品を販売する(24日、東京都荒川区で) 森永乳業と三井不動産などがタッグを組む新規事業「酪農マルシェ みるくのえん」では、スーパーでは手に入りにくい酪農家発のチーズやスイーツを販売。移動販売車で商品だけでなく、各牧場の情報や食べ方提案とセットで提供し、魅力を発信する。第1弾は30日まで東京都内7カ所で行い、7月中に第2弾を計画する。

「まずはおいしさを知ってもらい、オンライン販売で購入したり、実際に交流したりするきっかけの場にしたい」(森永乳業)と狙う。

ジェラートを手がける神奈川県平塚市の浜田牧場の浜田亮子さんは「発信力のある都心で手に取ってもらえる機会ができてありがたい。国産乳製品の価値を知ってもらいたい」と期待する。

売り場では、牧場ごとの商品の味の違いを可視化した「味マップ」を掲示するなど、メーカーならではの知見も生かす。マルシェの公式インスタグラムで、出品を希望する酪農家からの応募も受け付け中だ。

伊勢丹新宿店のイベントでは、乳製品を使ったこだわりの商品をそろえる(三越伊勢丹ホールディングス提供) 百貨店でも、乳製品は人気の商品となっている。伊勢丹新宿店は同日から、こだわりの乳原料を使ったスイーツや総菜が楽しめる人気イベント「ミルクにまつわるエトセトラ」をスタート。3回目となる今回は、原料の生乳に着目。「ミルク感をしっかり堪能できるアイテムをそろえた」(同店)

期間中は、近年注目を集めるグラスフェッド(牧草飼育)の牛乳や高級ヨーグルトなどをそろえ、乳製品の魅力を幅広い客層に伝える。30日まで。

牛乳スイーツや国産チーズ人気

Jミルクの需給短信によると、物価高の影響で、小売店での牛乳乳製品の販売は前年割れの状況が続く。一方、専門店が登場するなど牛乳やバターを使ったスイーツや国産チーズは人気を集める。

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