【大木ヘルスケアHD決算説明会】インバウンド需要対応強化、高付加価値商品が動き出す傾向指摘/「これまでと違う商品が動き出した」

【2023.05.25配信】大木ヘルスケアホールディングスは5月24日、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の決算説明会を開催した。感染対策製品の落ち込みがある中、2割近い伸びを示した化粧品など、幅広い商品群で販売増となり、売上は前期比9.4%増と2桁増に近い伸びを達成した。足下ではインバウンド需要が戻ってきており、今後、総合感冒薬などにおいてさらなる伸びに期待を示した。そのため同社ではインバウンド需要商品群を強化する意向。高付加価値商品が動き出している傾向も指摘した。

ヘルスケア領域に参入したい企業の支援が奏功

同社の2023年3月期の連結業績(2022年4月1日~2023年3月31日)は売上高3044億4500万円(対前年同期比9.4%増)、経常利益31億5300万円(対前年同期比99.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益21億8200万円(対前年同期比124.4%増)となった。

同社はヘルスケア卸企業である「大木」を中核企業とするが、松井秀正社長は「単なる売買」ではなく「メーカーサポート機能」や「小売サポート機能」を拡充してきたと説明。メーカーサポート機能とは、ヘルスケア領域にチャレンジしたい企業に対して流通施策等を支援するもので、過去にも金融企業であるSBIホールディングスにおける健康食品事業や、富士フイルムの化粧品事業を支援してきたとの実績を紹介。小売サポート機能では、“企業の競争力を体現する商品”の開発支援をコンセプトに掲げ、これまで大手ドラッグストア企業におけるエナジードリンク開発などに協力してきたと説明した。こうした多機能が、売上伸長にも寄与したほか、粗利改善にもつながったとの見方を示した。
粗利率は前期から0.15ポイント改善し、4.72%となった。粗利改善は「卸企業として競争力の裏返し」(松井社長)であるとし、「複数の機能を小売業やメーカーに提供していることが当社の競争力の原資である」とした。

インバウンド需要対応を拡充

インバウンド需要への対応強化の方針も示した。

たな卸資産が比較的高い割合になっていることに関連して、コロナ特需に対応するために備蓄してきた商品群に関しては適正化を進めている一方、インバウンド需要対応商品群については増やしていると説明。「以前売れていた“安くてコストパフォーマンスの良い商品”よりも、ちょっと手が届きにくいものが動き始めている。今までに売れていた商品と異なった商品が売れ始めている」と語り、高付加価値商品が動き始めている現状を指摘した。

“コーディネート”事業を強化

同社では“コーディネート”事業をさらに強化する考え。同社は今年4月に、「美・癒・フェムケア」の情報発信と市場創造を⾏う新会社LAUGHBASE株式会社(本社:東京都、代表取締役:市川恭⼦氏)を設⽴している。

松井社長は、同社設立の背景について「フェムケア市場に参入したい企業があった場合、ドラッグストア企業への流通のアクセスポイントがないといったことがある」と指摘し、情報発信とともに、市場アクセスへのプラットフォームを目指す考えを示した。現下のフェムケア商品群についても、「更年期対応商品などがあるのに、生活者に適切に届いていない」と問題意識を吐露した。ドラッグストアの業界団体などとも協力し、同市場を育成していきたいとした。

「園芸・ペット事業部」についても中長期的な市場創造に意欲を示した。
同事業は急激な増大は難しいとしつつも、「5年、10年のスパンでグローバルで通用するような商品開発を手掛けていきたい」と話した。

物流網、「つくる、つぶす、移管する」ができる機動的な体制

この日の説明会では同社の物流網についても説明。中間流通業である同社にとって物流網の整備は評価対象の1つであり重要との考えを示した上で、同社では中規模、ないし小規模のセンターを設けることで機動的な体制をとっていることを説明した。
松井社長は「設備投資に表れるような物流投資はほとんどしていない」とする一方、「通常のオペレーションコストの中で、中規模、あるい小規模のセンターを改廃している」とした。「必要な時に、つくる、つぶす、移管をする、ということができる体制をとっている」とし、これが効率的な物流体制やBCPのためにも利点があるとした。
背景として、卸企業は自主的に出店をすることはできず、小売・流通企業のサポートする立ち位置であるため、小売・流通の取り組みや新しい取引先との取り組み状況次第で地域における商品の物量が急激に変化することがあることを指摘した。一方、中央のコントロールセンターやシステム化については推進している状況にあると説明した。

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