通信途絶えたらどうする? 大災害で陸路寸断想定、総務省がすさみ町で訓練

ヘリコプターで移動通信機器を搬送(和歌山県すさみ町周参見で)

 総務省近畿総合通信局は24、25の両日、和歌山県すさみ町で南海トラフ地震などの大規模災害で陸路が寸断され、通信が途絶えたと想定した訓練をした。ヘリコプターによる移動通信機器の搬送や通信機器の操作訓練などがあり、関係者約100人が参加した。

 訓練は、防災意識の高揚と地域防災力の向上が狙い。通信局、県、すさみ町、白浜町、情報通信研究機構の5機関と地域住民が参加した。通信局が管内でこのような訓練をするのは昨年11月の奈良県十津川村に次いで2回目だった。

 初日の訓練では、自衛隊員と通信局員のそれぞれ2人が、陸上自衛隊八尾駐屯地(大阪府八尾市)からヘリコプターに乗り込み、衛星回線を通じて外部と通信できる機器「ICTユニット」とデジタル簡易無線機をすさみ町総合運動公園多目的グラウンドにあるヘリポートまで搬送。通信局員が、町防災センター、町避難ビル、町避難所の3施設へそれらを運び込んで設置した。

 2日目は、前日に設置した通信機器を利用し、県庁や町内各施設と通信訓練をしたほか、エンジン式発電機の操作体験などをした。訓練後には参加者が意見を交換した。

 通信局の武本圭史・総合通信調整官は「公共施設の高台移転や避難ビル建設など、すさみ町の防災に対する意識の高さに感銘を受けたことがきっかけで、この場所で訓練をすることになった。大災害で陸路が寸断される可能性がある場所は他にもあるので、このような訓練を続けていきたい」と話した。

ICTユニットを使って県庁に連絡する町職員(25日、和歌山県すさみ町周参見で)

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