
熊本県は県庁敷地内に整備した新防災センター1階に、2016年の熊本地震や、20年の豪雨災害の教訓を学べる「展示・学習室」を設けた。一般公開が始まって1週間余り。来場者からは「災害をリアルに感じられる場所だ」と評価する声も上がっている。
県は熊本地震の記憶を伝える施設を南阿蘇村の旧東海大阿蘇キャンパスで整備し、7月に開館させる。これと並び、展示・学習室のある新防災センターを回廊型の「震災ミュージアム」の中核拠点と位置付ける。
一般公開は今月17日に始まり、これまでに約800人が利用した。パネル展示やプロジェクションマッピングで、県内で起きた過去の災害を紹介。地震や風水害の発生のメカニズムも伝える。VR(仮想現実)の技術を用いた災害の疑似体験コーナーもある。

25日に見学に訪れていた南阿蘇村職員の男性(30)は「VRでは水害がリアルに再現されていた」と防災組織を高める施設として太鼓判。「災害を経験していない人も、ぜひ訪れてほしい」と話した。
自主防災組織活動支援員による防災研修も開かれている。2時間ほどの演習では、個人の防災行動計画「マイタイムライン」や地区防災計画の作成の仕方を学べる。研修の予約は26日以降も、県外の消防団や高校生のグループなどから10件ほど入っているという。
県危機管理防災課の担当者は「梅雨を前に過去の災害の教訓を学んでほしい」と利用を呼びかけている。入館無料。防災研修は要予約。☎096(333)2111。(横川千夏)