少年事件記録廃棄で報告書 京都・亀岡登校事故の遺族「裁判所が深く捉えていない」 

京都府亀岡市

 重大少年事件記録の廃棄問題で最高裁が25日に公表した調査報告書について、2012年に京都府亀岡市で集団登校中の児童らの列に無免許運転の車が突っ込み、妊娠中だった長女の松村幸姫さん=当時(26)=を亡くした中江美則さん(59)は「裁判所自体が事件のことを深く捉えていない結果だと感じた。(報告書で)さらに傷つけられた思いだ」と心境を吐露した。

 京都家裁は21年までに、事件に関わった少年6人のうち保護処分となった3人の事件記録や、生い立ちなどを調べた6人全員分の調査記録を廃棄した。

 中江さんは今年3月、廃棄の理由や経緯について説明を求める要望書を最高裁などに提出。有識者委員会の意見聴取にも応じた。

 報告書では、亀岡の事件に関し「当時の管理職が、再審請求の可能性がある事案や殺人などの重大事案の記録が、特別保存に付されると考えていた」などと言及。「(特別保存の判断権者である)所長に諮ることもなかった」とし、漫然と廃棄されたと指摘した。

 中江さんは「将来、残された子どもたちが事件記録を見たいと思った時にどうすればいいか。廃棄はその権利も奪ってしまう」とし、再発防止に向けて「もっと遺族ら当事者の意見に耳を傾けてほしい」と求めた。近く最高裁の担当者から、直接説明を受ける機会が設けられるという。

© 株式会社京都新聞社