【シンガポール】23年輸出最大10%減も、政府が予測引き下げ[経済]

シンガポール企業庁が25日に発表した2023年1~3月期の輸出額(NODX、石油と再輸出除く)は、前年同期比16.2%減の438億6,300万Sドル(約4兆5,300億円)となり、2四半期連続で2桁のマイナス成長だった。当初の予測よりも振るわない結果を受け、企業庁は23年通年の輸出額の成長率予測を、従来の前年比「マイナス2~0%」から「マイナス10~マイナス8%」へと大幅に引き下げた。

輸出額の伸びは22年10~12月期に前年同期比14.0%減とマイナスに転落。23年1~3月期には減少幅が2.2ポイント拡大した。全体の2割を占める電子製品が前年同期比25.2%減となり、3四半期連続で前年割れを記録。残る8割の非電子製品も13.6%減と、2四半期連続で2桁のマイナスとなった。

電子製品のうち集積回路(IC)が31.4%、ディスクメディアが41.1%それぞれ減少した。パソコン(PC)部品も33.4%減と不振だった。

非電子製品では非貨幣用金が34.8%減となり全体を押し下げた。このほか船舶構造物が52.4%減、石油化学が24.6%減と不調が目立った。

主要輸出国・地域別でみると、上位15カ国・地域のうち日本とスイスを除く13カ国・地域向けでマイナスとなった。中でも中国、台湾、香港の中華圏向けが振るわなかった。

輸出額の首位は米国で、2.5%減の80億4,000万Sドル。22年通年で首位だった中国は、22.5%減の64億1,400万Sドルとなり2位となった。香港は40.2%減と最大の下落幅を示し、上位10カ国・地域からこぼれた。代わりにインドが10位に浮上した。

日本は2.4%増の24億6,400万Sドルで6位。スイスは35.4%増加して13位につけた。

企業庁は1~3月期の輸出について、世界的な製造業のダウンサイクル(下降局面)を背景に、電子分野の需要が低調だと分析。今後については、シンガポールの主要な輸出品目である電子製品や化学品の新規受注が既に減少しており需要の弱含みが継続するほか、輸出品の価格上昇が22年に頭打ちとなり正常化に向かっているとの予測を受け、当面の輸出額は減少するとみている。

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