住民「怖くて眠れなかった」 確保の男、黒い車で署に

長野県中野市で住宅に立てこもっていた男を乗せ、同県警中野署に入る車=26日午前4時54分

 男を乗せた黒い車が警察署の敷地に入ると、報道陣が向けるカメラのフラッシュが一斉に光った。長野県中野市の住宅で起きた立てこもり事件で、26日午前4時37分、男が確保された。「怖くて眠れなかった」「やっと外に出られた」。不安のまま一夜を過ごした住民の表情には、疲労の色が残った。

 住宅や田畑が点在する現場近くの上空には、県警ヘリコプターのごう音が響いていた。赤色灯を付けた車に乗せられ、外から男の姿や表情は確認できなかった。

 「昨日は眠れず、シャワーを浴びることもできなかった」。早朝に新聞配達をしていた女性は、疲れた様子で振り返った。近所に住む40代の女性会社員は、確保を知りようやく朝食を買いに外出できたという。「こんな悲惨な事件が起きるなんて、今も信じられない」と声を震わせた。

 近くの中学校には住民ら88人が避難した。50代男性は25日午後、外に出ると猟銃を持った男の姿が目に飛び込み、慌てて家に戻ったという。その後避難所に身を寄せ、26日朝「やっと解放された」とほっとした様子で話した。

© 一般社団法人共同通信社