佐世保縦貫線 潮見-福石町間の6車線化断念、局部改良へ 今秋にも都市計画変更か

77年にわたって事業未着手の状態が続く佐世保縦貫線の潮見-福石町間=佐世保市内

 長崎県佐世保市内の都市計画道路で、事業未着手となっている佐世保縦貫線(国道35号)の潮見交差点付近から福石町交差点までの710メートルが今秋、都市計画変更される可能性が出てきた。国県市が協議した結果、予定していた6車線化をやめ、現状の4車線のまま、バス停車帯の設置など局部改良を目指す。戦後まもなくの1946(昭和21)年に戦災復興事業として都市計画決定された同区間は、77年を経てようやく動き出す。

佐世保縦貫線 潮見-福石町間

▽塩漬け状態
 計画決定されながら、何十年も具体的な動きがなく、いわば“塩漬け”状態が続く計画道路は「長期都市計画未着手道路」と呼ばれる。多くは都市の拡大を前提に、長期的視点の中で決まったものだ。
 近年、人口減少や社会情勢の変化の中で計画の位置付けや必要性そのものにも変化が生じており、見直しは全国的な行政課題となっている。同区間もその典型例で、整備を巡る動きに携わってきた市岡博道佐世保市議は「6車線にするのか、しないのか、ずっと宿題になってきた」と話す。

▽潮目の変化
 これまで佐世保市は県などと、市内の長期未着手の都市計画道路の見直しを進めてきた。ほとんどの計画を廃止にしており、同区間が唯一残された未着手道路。JR佐世保駅のすぐ南側に位置し、朝夕などは公共交通機関を含めた多くの交通で混雑することから、計画は生き続けてきた。
 潮目が変わったのは、並行路線となる西九州自動車道の4車線化が事業認可された2018年3月以降。国県市は、将来の交通量推計を見直し「4車線のままで許容できる」と方針を転換。ただ現状では渋滞や交通安全上の課題が残るとして、具体的な対策案を検討してきた。
 同区間は現在、片側2車線で平均幅員は20メートル。都市計画の変更では、片側2車線はそのままに、バス停車帯を数カ所設けて、左折、右折車線も追加する案が検討されている。既に地域住民にもその“青写真”が示され、市によると、明確な反対意見は出ていないという。都市計画変更は県の審議会に諮られ、正式に決まる。

▽まちづくり
 同区間は、地理的に土地利用のポテンシャルが高いエリアでもある。しかし、建物は3階までしか建てられないなど都市計画上の縛りがかかり、高度な土地利用ができなかった。中高層のマンションや商業施設が立ち並ぶ駅前から駅北側にかけてのエリアと対称的な街並みを形成する。「都市計画道路の規制の網がかかったがゆえに、まちづくりに完全に乗り遅れた」と話す地域住民は少なくない。
 市は現地の状況を踏まえ、計画が変更された際には地域住民の意向をくみながら、まちづくり手法の可能性についても検討する。戦後から沿線に店を構える喜多畳表店の喜多整吾社長(59)は「計画変更が地域住民にどのようなメリットがあるのか、今後の推移を注意深く見ていきたい」と話している。

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