長崎県内の少年2事件 「耳目集めず」と判断 重大少年事件の記録廃棄問題 最高裁が調査報告書を公表

 重大少年事件の記録が廃棄されていた問題で、最高裁は25日、調査報告書を公表した。長崎県長崎市の男児誘拐殺害事件(2003年)と佐世保市の小6女児同級生殺害事件(04年)では、家裁の管理職が事実上の永久保存に当たる「特別保存」に付すか検討はしたが、「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」などとして、所長に判断を仰がないまま廃棄していた。
 最高裁の小野寺真也総務局長は記者会見で、「所長に情報が上がるようなシステムを構築することに意を用いていなかった」と運用体制のずさんさを認めた。
 長崎家裁によると、同家裁が18年3月8日に長崎事件の全事件記録を、同家裁佐世保支部が19年2月28日に佐世保事件の記録を廃棄。いずれも元少年の年齢が26歳に達した翌年に廃棄処分していた。
 報告書によると、長崎事件は地元職員から「長崎では有名な事件」と聞いた家裁の担当管理職が別の管理職に相談。相談を受けた管理職は「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」「外部からの閲覧が許可されることはほとんどなく、調査研究の対象にもならない」などと判断した。
 記録庫の狭さも踏まえ、特別保存の必要性はないと結論づけた。担当管理職は特別保存の判断は現場に任されているとの認識だった。
 佐世保事件は支部の管理職が「佐世保では有名な事件」として家裁の管理職に相談。家裁の管理職は「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」と判断した。支部の管理職によって保存・廃棄の検討時期の認識がまちまちだった。
 長崎事件は03年7月、中学1年の少年=当時(12)=が男児を誘拐し、立体駐車場の屋上から突き落として殺害した。佐世保事件は04年6月、市立小で小学6年の女児=当時(11)=が同級生の女児をカッターナイフで切り付け、失血死させた。

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