解決に向けアプリ開発も「選挙ポスター」は不平等?

選挙が行われると設置されるポスターの掲示板。以前行われた調査によりますと、投票に訪れた人のうち4人に1人がこのポスターを見て投票先を決めていると答えていて、投票の際の重要な決め手となっています。ただ、先週投開票が行われた足立区議会議員選挙で、候補者に配られた掲示板の設置場所が示された区内の地図ですが、赤い点の1つ1つの場所に掲示板が設置されています。その数600以上。今回、ポスターの掲示をめぐる候補者の知られざる苦労と、その解決に向けて立ち上がった区議を取材しました。

宮島絵里香さん:「25人位でふたり一組チームで分かれて貼ることになりました」

候補者にとって告示日に行う大事な仕事の一つ、ポスター貼り。その課題について話すのは今回、無所属で足立区議会議員選挙に初挑戦した元教員の宮島絵里香さんです。

宮島絵里香さん:「やっぱり無所属なのでもともと支援する団体がいないので。ポスターは私たちのチームでは一日で貼らなくても何日かかけて貼っていこうって」

現在、ポスター貼りは掲示板の位置が記された地図と住所のリストが配布され、候補者はそれをもとにポスターを貼っていきます。宮島さんの支援者でポスター貼りに協力したさえさんです。1人で30枚ほどを担当しました。足立区が地元のさえさんは、地名を聞くだけで掲示板の位置が分かることが多かった一方で、細い道や見慣れない場所に設置されたものは、区から配布された地図を見ても場所が分からず迷子になったと言います。

宮島さんの支援者 さえさん:「住所だけしかぽーんってなくて、どこだろうってグーグルマップで調べて、ここかって感じで来ました」

また、区から配られる地図は同じ住所に看板が2つ設置されていることも。宮島さんのチームがポスターを貼り終えたのは告示日の2日後でした。

支援者が少ない候補には大きな負担となりうるポスター貼り。この負担を軽減しようと、先月行われた統一地方選である区議が立ち上がりました。

穂積勇起さん:「(掲示板の)場所について投稿すると、その位置情報がスマホ上に表示されるみたいなものを作った」

中央区議の穂積勇起さんが開発したのは、地図に掲示板の正確な位置を登録できるアプリです。開発のきっかけは4年前の選挙で、地図で示された公園に複数の掲示板があることに気づけず、貼り忘れてしまったことでした。このアプリでは、支援者同士で貼り終わった場所を簡単に共有できるようになっています。穂積さんは「ほかの候補者にも今後アプリを活用してもらいたい」と話す一方で、ポスター掲示の現在の仕組みに疑問を投げかけます。

穂積勇起さん:「ひとことで言えば非効率ですよね、それによって体制としてしっかりとしていない人たちが排除されがちというところはある。告示日に選挙管理委員会が雇った人たちが全てのポスター掲示場に貼っていくということをやってもらえればよいのではないかな」

一部の候補者に負担となっているポスターの掲示。その形は今後、変わることがあるのでしょうか。

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