浸水の全容、センサーで迅速把握 国交省、大雨被害の川西で実証実験

浸水状況を早期に把握するために川西町内に設置する小型センサー=川西町

 2019年の台風19号、昨年8月の豪雨と立て続けに大雨による浸水被害があった川西町で、国土交通省は本年度、小型センサーで町内の浸水状況をいち早く把握する実証実験に乗り出す。情報は町などと共有し、災害が懸念される状況での現場確認に情報技術を活用し、より迅速な対応につなげる。

 国交省山形河川国道事務所と設置を担当するテイデイイー(酒田市)の担当者が、25日に同町で行われた重要水防箇所合同巡視で、仕組みを説明した。手のひらサイズのセンサーが浸水を検知すると、国交省のサーバーに通知され、町の担当者が専用のクラウド上でリアルタイムで情報を知ることができる。

 同町では19、22年に、最上川や支流の水位上昇による内水氾濫、農業用ため池の決壊などで、住家の浸水被害が多発した。センサーは、2度とも被害を受けた黒川、吉田、洲島と、上小松、東大塚の計5地区に計27台を設置する。取り付けは7月以降に、低地、住宅街、幹線道路など人的・物的被害につながる恐れがあるエリアで行う。

 町の担当者は、想定を超える雨量を記録した昨夏の豪雨の際、浸水の全容をつかむ難しさを実感したという。「センサーを使うことで初期段階で全体像を把握でき、早期の交通規制や避難誘導につなげることができる」と期待する。

中山も参加

 国は昨年度からおおむね5年間の想定で、小型で比較的低コストなセンサーによる官民連携の実証実験を全国で行っている。有効性を確認し、最終的には住民もリアルタイムで情報を共有でき、被災した際の罹災(りさい)証明手続きの迅速化などにもつながるシステムの構築を目指す。本年度は全国39自治体で取り組み、本県からは同町と中山町が参加する。

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