34歳の日本代表、ドッジボールW杯で銅メダル 滋賀・甲賀で普及にも力

W杯でプレーする吉川さん(昨年12月、エジプト・カイロ)

 昨年12月のドッジボールのワールドカップ(W杯)で銅メダルを獲得した日本代表に県内で唯一参加した吉川辰哉さん(34)が地元・滋賀県甲賀市を拠点に競技の普及を進めている。初出場した世界大会を振り返るとともに、競技への思いを語ってもらった。

 「目標に掲げた世界一は届かず悔しい思いはあるが、メダルを持ち帰れたのは良かった」

 W杯は、昨年12月14~17日にエジプト・カイロで8カ国が参加して開かれた。日本は2019年のアジア予選で出場権を初めて獲得。新型コロナウイルス禍で開催が延期されたため、大会前に改めて代表選考を行った。

 ドッジボールは日本では内外野に分かれ、1個のボールを投げ合うのが一般的だ。だが、この「シングルボール」は日本発祥ルールで、W杯では内野のみで6人同士がボール5個を使って当て合う「マルチボールルール」で行う。1セット3分、前後半15分で争い、セット勝利数で競う。

 吉川さんは予選リーグ、決勝トーナメントを通じて全試合に出場し、「ゲームの最後まで内野に残るのが目標で、思った以上にできた」と自己評価する。一方で外国人との身体差に戸惑った。「片手でボールをつかみ、フェイントを織り交ぜながら鉄球のような球が来る。予選では慣れずに苦労した」と振り返る。自身の次回W杯の出場を目標に掲げつつ、「体力差を補うために能力の高い若手を集め、選手層に厚みを出さないといけない」と指摘した。

 普段は甲賀市内でスポーツクラブを運営し、子どもにさまざまなボール運動やリズム運動を指導する。ドッジボールでは2年前に小学生チームを、今春に中学生チームを立ち上げ、普及活動を進めている。

 大石小(大津市)のクラブチームで全日本ベスト16に入ったことが原点にある。「投げる、受ける、よけるといういろんな運動の要素があるチームスポーツ。人間力を高めて社会で活躍できる人間を育てたい。プロ選手が誕生する道筋をつくれたら」と意気込む。

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