【韓国ドラマ】奇跡のように面白い『医師チャ・ジョンスク』! 90年代から活躍する女優2人に胸アツ!"韓国のマドンナ"オム・ジョンファの熱演に号泣

Netflixシリーズ『医師チャ・ジョンスク』独占配信中

『医師チャ・ジョンスク』韓国での視聴率がぐんぐん伸びているが、それに合わせて個人的なハマり具合も爆上がりしている(日本ではNetflixで配信中)。

正直、韓国ドラマとしては、それほど目新しいところがあるドラマではないように思う。

長年、主婦をしていた女性が目覚めて社会と関わろうと奮闘するドラマとしては、チェ・ジウ主演の『2度目の二十歳』などもあるし、人妻×不倫する夫×不倫女性×人妻に興味を持つ年下男性……の愛憎劇なんて、「イルイルドラマ」か「週末ドラマ」か何かで見たことがある。

でも、これが、なぜかめちゃくちゃ面白い。

何も考える必要はない。ただドラマを見始めて、そのドラマの船に乗っているだけで、笑って泣いて、胸を熱くさせてくれる。

■『医師チャ・ジョンスク』のミラクルな面白さ、その理由は?

韓国ドラマは、特に新鮮なわけでも、話題性が高いわけでも、作品性に優れているわけでもないのに、キャスト、設定、ストーリーなどが絶妙なバランスを保ち、奇跡のように面白くなる作品が時々ある。

このドラマの場合、共同演出を務める2人の監督も脚本家も、これまでそれほど大きなヒット作を手掛けているわけでもなさそうで、まさにミラクルといえるのかもしれない。

本作の特に抜きん出ているところは、物語の起伏のつけ方、ではないか。“悲しみ”と“喜び”、“涙”と“笑い”といった真逆なものが、うまい具合に交互に配されている。だから、それぞれの感情がより大きく深く感じられる。

その真骨頂ともいえるのが、第10話目。ヒロインのジョンスクが、不倫夫の悪行をすべて知り、大ショックを受けて悲しみに暮れる。

その回の最後に、雨の中を疾走するオープンカーの天井が閉まらず、ずぶ濡れになり、思わず女2人で大爆笑するというシーンが登場する。ちょっと深刻になりそうな展開を吹き飛ばすサイダー的な痛快シーン。「何と素晴らしき構成!」と客観的に考えるよりも先に感動し、号泣していた。

■ヒロイン役のオム・ジョンファ、ライバル役のミョン・セビンに胸アツ!

ジョンスクを演じるオム・ジョンファの功績も大きい。もともとは一本気で心優しい女性が、キム・ビョンチョル演じる夫をものすごい勢いでビンタしたり、ケーキに顔を押し入れたりする姿は、もう痛快そのものだ。

最近では『私たちのブルース』に出演して注目されたオム・ジョンファは、1990年代から人気のスター歌手で“韓国のマドンナ”としても知られるが、デビューしたのは映画。かつてはよりコケティッシュな雰囲気で、セクシーなイメージが強かったけれど、以前から自分の力で生きていこうとするヒロインを演じることが多かった気がする。

そんな彼女の出演映画の中で『医師チャ・ジョンスク』を観て思い出したのが、ファン・ジョンミンと共演した『ダンシング・クイーン』だ。

『医師チャ・ジョンスク』では20年ぶりに医師の世界に足を踏み入れる主婦を演じるが、『ダンシング・クイーン』では20年ぶりにダンス歌手に挑戦する主婦に扮していた。夫との関係性が違うので夫婦の結末は異なる可能性はあるものの、ヒロインが誰かの犠牲にならない人生を歩み始める姿はとても似ている。2つの作品を観比べてみるのも面白いだろう。

ちなみに、『医師チャ・ジョンスク』で敵の女性役を演じているミョン・セビンも、90年代から活躍しているベテラン女優。

先日、韓流20周年に絡んだ原稿を書くために、あの『冬のソナタ』を演出したユン・ソクホ監督の貴重な公式ガイドブックを久々に開いたら、若かりし頃の彼女の写真がばっちり掲載されていた。1998年に放送されたユン・ソクホ監督の『純粋』で新人女優ながらヒロインに抜擢され、一躍注目されたという。

ここのところ、『シュルプ』のキム・ヘスや『クイーンメーカー』のキム・ヒエなど、Netflix作品でアラフィフ世代の女優が大健闘を見せているが、そうそう簡単に今の今まで生き残れるわけではない(と、件の公式ガイドブックを見てさらに思った。何と姿を見なくなった俳優の多いことか!)。

90年代から活動する2人の女優が、2023年の今、ライバル役を演じて韓国テレビ界やNetflix界隈を賑わせていると改めて知ると、ドラマを観ながら何だかさらに胸が熱くなる。

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