アルファタウリのデ・フリース、シート喪失の噂に動じず「これがF1。ミスが多すぎるのは事実だが、学習過程の一部」

 スクーデリア・アルファタウリのニック・デ・フリースは、シーズンの早い段階で解雇の懸念が報じられ始めたことは、F1の世界ではよくあることであり、大きなプレッシャーはないと述べた。そして、ここまでの自分はミスが多すぎたため、学習し、結果を出す必要があると認めている。

 デ・フリースはFIA F2とフォーミュラEでタイトルを獲得、昨年のイタリアGPでのF1デビュー戦では見事な走りで入賞を果たしており、初のF1フルシーズンには大きな期待がかかっていた。しかし今季序盤5戦では、F1での3年目を送る角田裕毅に予選でも決勝でも大きく引き離され、ミスによるクラッシュも何度か喫している。

 レッドブルは彼をシーズン途中で降ろすのではないかという推測も持ち上がったが、レッドブルF1のモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、当面は彼の改善を待つつもりであるとコメントした。

2023年F1第5戦マイアミGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)とレッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコ

 モナコGP前の木曜、デ・フリースは、わずか5戦でシート喪失のうわさが持ち上がったことについて聞かれ、「ショックは受けなかった。この世界では、それが普通のことだからね。レッドブル内でも、F1全体においても、昔からそうだ」とコメントした。

「シーズン初めと状況は変わっていないと信じている。ドライバーは、常に良いパフォーマンスを発揮し、結果を出す必要がある。自分のキャリア全体を振り返っても、そうだった」

「ドライバーは、生き残るために常に戦っている。キャリアを良い形で続けていくためには結果を出す必要がある。僕がそう言っても信じてもらえないかもしれないが、今、かつてないほどのプレッシャーがかかっているとは感じていない」

「自分自身で、あまりにもミスが多すぎると思っている。それについては率直に認めるよ。ペースについては何度か強力だった時があったので、そのことで勇気づけられ、自信を持てている」

「でも、あまりにもミスが多すぎるために、結果につなげられずにいる。それは学習プロセスの一部であり、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある」

「人間はミスを犯す。でもそこから前に進んでいくんだ」

2023年F1第7戦モナコGP メディアのインタビューにこたえるニック・デ・フリース(アルファタウリ)

 今週末のモナコGPは、デ・フリースにとってホームグランプリのひとつになるため、とても楽しみにしているという。

「モナコはシーズンのハイライトのひとつで、僕はここに住んでいるからホームレースのようなものだ。コース自体や週末全体の雰囲気という点でも、すごく特別だし、とても楽しみにしている」

「でも当然ながら僕たちレーシングチームの全員が、ファクトリーにいる仲間たちや、ひどい洪水に見舞われた地域の人々のことについて忘れることはない。あの地域の回復力はとても力強く、誰もが一生懸命作業をしているのを目にしてきた。状況ができるだけ早く改善されるよう願っている」

「モナコでは以前もレースをしたことがある。実はF2での初優勝は、ここでの2017年のスプリントレースだった。そして2019年にはポールポジションからフィーチャーレースで優勝したんだ。すごく特別な思い出だよ。でも今年はモンテカルロのメインイベントに参加する。それはとてもクールな経験になるだろう」

2023年F1第5戦マイアミGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)

「普段モナコ周辺をドライブしていると、1週間だけレーストラックになることを思い出す。特にターン5、6、7、8のところでね。基本的にはミラボー・オートからヘアピンを通ってミラボー・バスまで、トンネル入り口のすぐ前までだ。自宅へ向かうにはそこで左折する。つまり、グランプリ期間中も、自宅で寝ることが可能なんだ」

「ある年に、チームのホテルに泊まればレースの環境に浸ることができるかもしれないと考えた。でも、トラベルポーチを持って自宅とホテルの間をスクーターで行き来することになったので、そうでもなかったよ!」

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