福井県大野市犬山にある山の山頂に室町時代に築かれた山城が戌山城。ふもとを通る美濃街道を監視する役割があり、戦国武将の金森長近が越前大野城を築くまで要衝だった。頂上から少し下ると、見張り場所だったと考えられる南出丸があり、今は雲海に浮かぶ越前大野城「天空の城」を見ることができるスポットとして人気だ。
天空の城は、市内のアマチュアカメラマンが撮影したのをきっかけにブームに火が着いた。2014年に地元住民らが「ラピュタの会」を立ち上げ、撮影スポットや登山道を整備した。カメラが趣味でもある川端嘉明会長(71)は、初めて天空の城を撮影した時のことを「古里にこんなに素晴らしい光景があったなんて。感動は忘れられない」と振り返る。
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川端会長は、天空の城を全国に発信したいと、自ら撮影した写真をブログで紹介してきた。中でも「最高の条件だった。今までで一番」と語るのが、16年1月に撮影した1枚。写真は大野市の観光ポスターにも使われている。
シーズンになると撮影スポットに写真愛好家がずらりと並び、しきりにシャッターを切る。川端さんは「素晴らしい古里の光景をさらに多くの人に知ってもらいたい」と活動を続けていく。
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戌山城(いぬやまじょう)
室町時代に越前守護の斯波氏の一族によって築かれたとされる。福井県内では数少ない畝状竪堀がある。天空の城の撮影スポットまでは、鍬掛登り口から登山道を約30分歩くと着く。
ラピュタの会
2014年4月に発足。会員は大野市内を中心に約20人。登山道の整備や、雲海に浮かぶ越前大野城の写真を使ったカレンダー作成などを行っている。