私が『ドラクエ5』でビアンカを選んでしまう理由。あの名言がいじらしい…!

幼いころから大人なるになるまで、ずっと私たちの身近にある漫画やアニメ。

キャラクターが発した台詞が心から離れない、という経験をした人は多いのではないでしょうか。作品の“名言”を振り返る本シリーズ。

今回は1986年に1作目が発売されて以来、世界中で愛されるRPGゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズから心に残った名言をご紹介します。

セーラームーンを筆頭に、90年代コンテンツを愛する

小川満鈴さん

に影響を与えた言葉とは?

PS2版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』 より

『ドラクエ5』といえば“結婚システム”

好きなドラゴンクエストのナンバリングタイトルは?と聞くと、もちろんロト三部作である「1、2、3」を挙げる方も多いのですが、やはり圧倒的に支持されているのは『ドラゴンクエスト5 天空の花嫁』(以下ドラクエ5)。

この『ドラクエ5』の人気の秘密はドラマチックなストーリーに加え、「結婚システム」にあると言っても過言ではありません。『ドラクエ5』ではストーリー中盤のある時期になると、強制的に結婚相手を選ぶことになります。

DS版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』

しかももちろん複数の女性と結婚するなんてできません。絶対に一人を選ばなくてはいけない……。

ちなみに、初代スーパーファミコン版では、幼馴染である「ビアンカ」そして、お金持ちの娘さん「フローラ」の二人から選ぶことになりますが、リメイク版ではさらにここにギャルっぽいツンデレ少女「デボラ」も参戦しました。

今回はその中から、ビアンカの名言を取り上げてお話させていただきます。

主人公への想いをひた隠すビアンカが健気でいじらしい…!

ビアンカと主人公は幼馴染みで、小さなキラーパンサーを救うためにお化けの住む「レヌール城」を一緒に冒険しました。棺桶に閉じ込められたり、離れ離れになってしまったりの大冒険でした。

そして二人は成長し数年後、再び再会することになります。
主人公には父の跡を追うという使命にも似た目的があり、そのためには重要なアイテムを手に入れる必要がある。ビアンカは自分がいるとその冒険の邪魔になってしまうと考えるのです。

しかし、できるだけ主人公の力になれればと、あの幼き日のように「滝の洞窟」へ同行します。
ビアンカはあまり恵まれない環境で育ち、それでも本当に素直で親の看病もしながら懸命に生きています。

もちろん主人公への淡い恋心があるものの、それを隠さないといけない、でも……という少女漫画的なむず痒い切ないやりとりが、この洞窟探検から分かるのです。

CDシアター『ドラゴンクエスト5』VOLUME2

ビアンカ「わー きれい!」
ビアンカ「こんなふうに 景色に 見とれるなんて 何年ぶりかしら……」
ビアンカ「母さんが 死んでからは そんな余裕 なかったしね」
こんな直球の胸が苦しくなるようなセリフも真っ直ぐ嫌味なく聞こえるから不思議です。

ビアンカ「失礼しちゃうわね!」
ビアンカ「さっきの男 私のおしり さわったのよっ」
なんていうお茶目なセリフ。
これも深読みしてしまうと、主人公に「成長した自分を知ってほしい」という心理的な裏があったのかもしれません。

そして極めつけはこのセリフ……。

無事にこの滝の洞窟の探検の目的であった「水のリング」を手に入れた後、ビアンカは……。

ビアンカ「やったわね」
ビアンカ「これで フローラさんと結婚できるはずよっ」
これはきっと本心でもあって、でもギュッと自分の気持ちを抑えているこの感じに胸打たれます。

でもビアンカも自分の気持ちを抑えられなかったのでしょう、次にこのような一言を主人公に言いかけます。

ビアンカ「ねえ 〇〇(主人公の名前)……」
ビアンカ「ううんなんでも ないわっ」

あー切ない!

ビアンカとフローラの選択については色々な考え方があって、ゲームとしてのキャラクター性能で勝るのはフローラ。

ですが、やはりこれらの二人の過去の記憶やビアンカのセリフを聞いてしまうと人情としてビアンカを選ばざるを得ない……というのが私です……。

ビアンカの姿勢には学ぶべき部分も?

今の時代、もちろんネットもスマホも普及して便利になりました。中高生同士の恋の告白もLINEで……なんていうのは当たり前になっているのだそうです。

これは時代ですから仕方ないですし、その当人たちは同じように胸が苦しい切ない気持ちを感じているのだとは思いますが、やはりビアンカのこの一歩引いた感じもまた、女性の私から見ても素敵だなと感じます。

好きな人のためなら自分の想いをギュッと奥にしまいこんで犠牲にできる人生。果たして実際にどれだけの人がこのようなことができるでしょうか?

via

なんでもすぐにネットに思った事を書いて、それで誰かを傷つけてしまっていることも多い今の世の中ですが、ビアンカちゃんのように、一歩引いて、本当にこの言葉がどれくらい誰のためになるのだろう?
‥…と考えてみるのもこれからの時代、逆に大事になるのかもしれません。

と言いつつ、リメイク版ではギャルのデボラを選んだ私ですが……。

(執筆:小川満鈴)

小川満鈴(おがわ・みな)プロフィール

子役経験を経て、2016年に結婚。

現在は連載コラムなどライター業を中心に活動中。

また、日本一のセーラームーングッズコレクターでもある。

■おがわんセーラームーングッズコレクションサイト(随時更新中):

http://ogawansailormoon.versus.jp/ogwansailormoon/sailormoontop.html

■Instagram:

@ogawan_sailormoon

小川満鈴(おがわ・みな)プロフィール

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