全校生徒134人中70人が所属する愛媛の高校の部活動って!?入部したくて北海道からやってきた生徒も

愛媛県立長浜(ながはま)高校。ここに、高校では国内初だというある施設があります。過疎化が進む大洲市長浜町の賑わいづくりはもちろん、魅力も発信しているという、その施設とは…

生徒 「色々な種類がいて世話もできて、すごく楽しい」 「インターネットで調べていてこの高校を知りました」 「将来は飼育員になりたいと思っているので…」

その施設とは、なんと水族館!約150種、2000点を超える生き物を飼育していて、地域の観光資源にもなっています。

そのルーツは、学校の地元、大洲市長浜町にかつて存在していた四国初の水族館、「長浜水族館」です。

1935年に完成し、老朽化のため、1986年に半世紀の歴史に幕を下ろしました。ただ、地域のシンボル復活を願う住民の思いも受け、閉館から13年後の1999年、学校の教室に誕生したのが「長高(ながこう)水族館」でした。

飼育されている生き物は市民からの提供も多く、この日、漁師さんから持ち込まれたのは、ウツボです。

提供した漁師・三好明さん 「釣った魚が無駄にならないし、みんなに見てもらったら」

そんな水族館の運営を担うのが、長浜高校水族館部です。部員は70人で、全校生徒134人の半分以上が所属する、まさに看板クラブです。

橋本海斗部長(3年) 「長高水族館があるおかげで1年生が増えて、分校化が阻止できたというのもあって、町の人からも温かい目で見てもらっています」

部員たちはそれぞれ担当する生き物たちの世話をしながら、毎月第三土曜日の一般公開日に向け、4班に分かれて活動しています。

まずは「繁殖班」。2年生の津田さんは、クラゲを卵から育てています。

繁殖班・津田七羽さん(2年) 「フワフワしている動きで心臓の代わりをしていて、そこがすごい」

続いて「研究班」。これまで、「ニモ」でおなじみのカクレクマノミが、イソギンチャクに刺されない理由を世界で初めて突き止め、日本学生科学賞の最高賞を受賞したこともあります。その仕組みを応用した商品も開発するなど、数々の成果を上げてきました。

タコ愛が止まらない石丸さん(2年)の研究課題は、鏡像自己認知、すなわち「タコは鏡の自分を自分と認識できるのか?」。魚は認識できるそうですが、タコで証明できれば世界初の快挙だそう。石丸さん、自信満々です!

研究班・石丸夏実さん(2年) 「魚にできるのでタコに鏡像自己認知ができないわけがない。頭がいいといわれている動物なので、絶対できると確信してやっています」

「イベント班」では、一般公開日に披露するショーのトレーニングに取り組んでいます。ハマチの輪くぐりのほか、新たな見せ物のデモンストレーションも。

2年生の北田さん考案の、カメさんたちのレースですが…

自由すぎるカメたちに翻弄されていました…。

そして、この春から新たに誕生したのが「デザイン班」です。

館内の装飾から備品のメンテナンスまで、トータルプロデュースしています。

ここ2年、約30人の新入部員を迎えた水族館部は、今年度、初めて70人に。さらに来年度には100人超えも想定され、今の教室だとキャパオーバーになるそうです。

入部者が殺到する嬉しい悲鳴の背景には、学校存続へ取り組む生徒の全国募集があります。愛媛県内の遠隔地や県外からやってきた“生き物ラブ”な部員は約50人と、全体の7割を占めています。

高知県出身・橋本海斗部長(3年) 「おじいちゃんが副職で漁師をしていて小さなころから魚と関わってきたので、きれいな魚を見るといつまでも見たいと思っていて、それを自分の職にしたいということで親も背中を押してくれたので、この学校に決めました」

北海道出身・大西香瑛乃さん(1年) 「水族館飼育員になりたいと思っていて、高校からできることが何かないかと思っていたところ、インターネットで調べていてこの長浜高校を知りました。色々な種類がいて世話もできてすごく楽しい」

長野県出身・津田七羽さん(2年) 「将来は水族館の飼育員になりたいと思っているので、その夢にちょっとでも近づけると思いました」

夕食の時間、遠隔地から通う生徒たちは地域の飲食店へ。長浜高校は専用の寮を持たないため、生徒たちはアパート暮らしです。希望者が、学校の依頼を受けた店で食卓を囲みます。

大阪出身の生徒 「みんなで仲良くにぎやかに食べられてうれしい」 東京出身の生徒 「コミュニケーションの場にもなって、すごく楽しめている」

過疎化が進む愛媛県大洲市長浜町の賑わいづくりはもちろん、魅力も発信している長浜高校水族館部。これからも地域に支えられながら充実しそうです。

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