日本海中部地震40年/大津波被害 悼み、備える

日本海中部地震の発生時間に合わせ黙とうする市浦中の生徒たち
大津波警報発令を想定し、深浦町役場から高台に避難する町職員=26日午前10時7分、深浦町

 日本海沿岸を最大震度5の地震と津波が襲い、青森県の17人を含む104人が犠牲となった1983年の日本海中部地震から26日で40年となった。五所川原市と深浦町では避難訓練や黙とうが行われ、当時を知る参加者が「忘れてはいけない災害」「記憶を次世代に伝えていかなければ」との思いを新たにした。中学生も避難所設営などに取り組み、「今後の災害に生かす」と防災意識を高めた。

▼津波犠牲者に黙とう/市浦小・中

 五所川原市の市浦地区では、市浦小学校と市浦中学校の児童・生徒が参加しての避難訓練と避難所設営訓練が行われた。参加者は日本海中部地震が発生した午前11時59分に合わせて黙とうし、40年前の津波で亡くなった人々を追悼した。

 訓練は、青森県日本海沖を震源とするマグニチュード(M)7.9の地震が起きたという想定。市浦中の1~3年生28人は校庭へ出た後、大津波警報が発表されたとの知らせを受け、近くのB&G海洋センター体育館まで歩いて避難した。体育館での避難所設営訓練では、段ボールベッドや簡易トイレづくりなどを体験。授乳室やおむつ交換室の設置にも取り組み、全ての人が安心できる避難所づくりについて学んだ。

 同地区の防災無線でサイレンが鳴る中、生徒たちは整列して黙とう。訓練を終えた市浦中3年の奈良天雅君は「40年前の地震の時は大変だったと思う。きょう行ったことを、災害があった時に生かしていきたい」と感想を述べた。

 自身も訓練に参加した佐々木孝昌市長は「市浦地区は高齢化が進んでいるため、避難所設置などの際に中学生は戦力となる。今日の訓練をきっかけにして、何かあった時には中学生が主体的に動けるような取り組みをしていきたい」と語った。

▼「M7.8大地震発生」深浦で避難訓練

 日本海中部地震で沿岸部が津波に襲われ、旧岩崎村を含め3人の犠牲者を出した5月26日を「町防災の日」としている深浦町は、町内全域の避難訓練を伴う防災訓練を実施した。

 訓練は、日本海を震源とするマグニチュード(M)7.8の大地震が発生し町内全域で震度6弱以上の揺れを観測し、大津波警報が発令。地震や津波で橋や道路の損壊が相次ぎ、孤立集落も多数発生-との想定。

 町職員二十数人は、町役場から近くの高台にある岡町防災広場まで徒歩で避難。さらに、災害対策本部を設置する深浦中学校まで移動した。本部会議では、各課の報告を基に「町内全域で日本海中部地震以上の被害が出ている」として、自衛隊への災害派遣要請が必要であることを確認した。

 深浦中の生徒は同校体育館で、陸上自衛隊第39普通科連隊第1中隊(弘前市)の隊員から、止血法や担架の作り方などを学んだ。

 訓練に参加した町消防団の佐藤靖子本部付女性分団長(69)は「三男がおなかに居て、3歳の次男をおぶって避難したことを思い出す。知らない世代が多くなった。きちんと伝えていきたい」と話した。吉田満町長は「町に大きな被害をもたらした災害を忘れてはならない。少子高齢化が進み、地域を守るマンパワーの不足を心配している。これからも訓練を続けたい」と語った。

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